本紙原発取材班は、一年半前に東京電力福島第一原発事故の避難指示が解除された福島県楢葉町と、四月一日に解除される富岡町を車でくまなく回り、住民の帰還状況を調べた。
調査は、一月十一日、二月一~二日の三日間、主に夜間、住宅地図を手に車で走り、一軒一軒家の明かりを確認し、地図に印をつけていった。
その結果、楢葉町では四百三十軒で明かりが確認できた。町が見回りや届け出で帰還を確認している四百四十一世帯に近い結果だった。一年前と比べると明らかに増えており、地区でまとまって帰ってきた様子がうかがえた。
町のデータによると、世帯数でみた帰還率は約%だが、住民数だと%。この差は、三世代同居が当たり前の地域だったのに、若い層はあまり戻ってきていない現実を示している。
一方、福島第一に近く、放射線量が一段高い富岡町では、昼間はJR常磐線の復旧工事や除染の人たちが多くいるが、夜間になると人の姿はぱったり。出会ったのはクマかと思うほど大きなイノシシだけだった。どこを回っても、街灯と除染関係の事務所や宿舎ばかり。走り回って十三軒しか確認できなかった。
ご覧いただいた通り、楢葉町は徐々に住民は戻ってきました。
町が、新規の住民を獲得しようと、田畑を造成して分譲した住宅地18区画もほぼ売れたそうです。それでも帰還率は1割強。しかも、帰った人のうち6割超が60歳代より上の世代です。人口ピラミッドはいびつな形をしています。
このままでは、自治体を維持するのはとても難しいのではないでしょうか。間もなく新学期が始まり、学校も楢葉で再開されます。
どのようになっていくのか、今後も見守り続けます。
明かりを探す際、車に自動的に放射線量を記録する装置を取り付けていました。
次週は、楢葉、富岡の放射線量マップをお届けします。(剛)