今回は、北東部に許可なく立ち入りができない帰還困難区域の残る富岡町の放射線量を報告する。
2017年4月、多くの地域で避難指示が解除された。その2カ月前に線量調査をした際は、毎時0.3マイクロシーベルトを下回る地点といえばJR常磐線富岡駅前くらいだった。それに比べると、東京電力福島第一原発事故から約10年となり、線量は明らかに下がった。住宅地や商店街では汚染が残る多くの建物が解体されて更地となったことも低下につながっているとみられる。
町内の居住者はじりじりと増えて1500人強。ホームセンターで花を買い求める住民の姿が見られるなど、徐々に暮らしが戻ってきたのは確か。
人口が多かった新興住宅地の夜の森地区の多くが帰還困難区域の現状では「復興」は道半ば。許可を取って帰還困難区域内も回った。23年の避難指示解除を目指し、夜の森地区では建物解体の真っ最中で、農地の表土はぎ取りも終盤に入っていた。線量はおおむね毎時1マイクロシーベルトを下回るようになっていた。国道6号東側の小良ケ浜、深谷地区は手つかずに近い状態だったが、除染で出た汚染土の搬出は7割以上進んでいた。(山川剛史)