東海第二原発再稼働の是非問う県民投票は実施されず 茨城県議会が条例案を否決

 茨城県議会は6月23日の本会議で、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の賛否を問う県民投票条例案を自民会派などの反対多数で否決した。大井川和彦知事は本会議後、「県議会の議論を分析し、今後の施策につなげていく」と報道陣に述べた。再稼働の是非を判断するに当たって県民の意見を聞く手段については「今回の否決が住民投票の選択肢を全て消すことにはならない」とも語った。 (宮尾幹成)

東海第二原発=茨城県東海村

賛成は5人、反対は53人

 自民は本会議で「県民投票は県民の間にしこりを残す」などと反対理由を表明。挙手による採決では、森田悦男議長(自民)を除く58人のうち、自民(41人)、原発産業を抱える日立グループ労組の支援を受ける国民民主系の県民フォーラム(5人)、公明(4人)と無所属議員3人が反対。賛成は共産(2人)、立憲民主(1人)と無所属の本沢徹氏(鉾田市・茨城町・大洗町)、中村勇太(はやと)氏(古河市)の5人だった。
 採決に先立つ各会派の討論で、自民の飯塚秋男氏(下妻市)は「二者択一の投票は県民の間に大きなしこりを残す」などと反対理由を説明。県民フォーラムの斎藤英彰氏(日立市)も反対の討論に立った。
 共産の江尻加那氏(水戸市・城里町)と立民の玉造順一氏(水戸市・城里町)は賛成討論。無所属の中村氏も賛成意見を述べた。
 本会議前に開かれた議会運営委員会では、玉造氏が条例案の継続審査を本会議に諮るよう提案したが、受け入れられなかった。

 条例案は、住民団体が8万6703筆の署名を添えて直接請求したのを受け、知事が8日に県議会に提出。18日、防災環境産業委員会が賛成少数で否決した。実質的な審議はこの1日だけだった。
 2011年の東京電力福島第一原発事故以降、住民の直接請求で原発再稼働の賛否を問う住民投票条例案が提出されたのは大阪市、東京都、静岡県、新潟県、愛媛県八幡浜市、宮城県に続き7例目。いずれも議会で否決されている。

東海第二原発とは?

 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。
 2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は21年3月までかかる見込みで、資金支援のため、東京電力などが約3500億円を拠出する構図も固まった。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。

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