ふくしまの10年 見えない放射能を描く ⑧ずさん管理で川に流出

アンダーコントロール

 タイトルの「アンダーコントロール」は、2013年9月、安倍晋三首相がアルゼンチンで行った五輪招致演説で発した言葉だ。東京電力福島第一原発事故の影響は制御され、安全に東京で開催できると強調する文脈で出てきた。
 当時、原発ではタンクや建屋周辺の地下トンネルからの汚染水漏れが大きな問題で、首相の発言は各方面から批判を浴びた。
 描かれているのは、原発の東20キロほどの田村市都路地区の仮置き場。除染で出た土や草木などが詰まったフレコンバッグが積み上がる。
 イラストレーターの鈴木邦弘さん(46)は19年8月、県内在住の知人の車に乗せてもらって訪れた。
 「ここは地元の建設業者が管理しているが、非常にずさんだ」。知人にこう言われ見てみると、袋の積み方も乱雑で、上にかけられていたブルーのシートはあちこち破れていた。放射性廃棄物なのに、こんなことでいいのか? 鈴木さんは疑問に思った。
 その2カ月後、実感は現実のものとなった。台風19号による濁流が近くの別の仮置き場に流れ込み、10袋が近くの川に流出した。
 同様の流出事故は、ほかの市町村でも起きている。「こんな現状で、事故の影響がコントロールできていると言えるのか」。鈴木さんは皮肉を込めて描いた。


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