福島第一原発の汚染処理水 処分めぐるパブコメ1500件超える 

 東京電力福島第一原発の処理水の処分に関する意見公募で、5月15日だった期限が1カ月延長され6月15日となった(期限は7月15日に延長されました)。経済産業省によると、理由は「より丁寧にご意見を伺うため」。5月末時点で応募数は1500件を超えたが、環境放出への不安や、慎重な対応を訴える声が多いという。意見数を増やすだけではなく、方針決定にそれらをどう反映させるかが問われる。

東京電力福島第一原発の汚染処理水の処分に関する意見公募の参照資料

海への放出は不安、慎重対応求める声多く

 「参照資料が難しい用語ばかりで分かりにくかった」。東京都内に住むウェブデザイナー安藤みちこさん(41)は2011年の東日本大震災後、少しずつ原発問題への関心が高まり今回、初めて意見公募に意見を出した。その際、処理水は海や大気に放出するのが現実的だと提言した政府小委員会報告書や、東電の資料を読むのに苦労したという。
 さらなる風評被害で福島に負担はかけられない、との考えから放出には反対だ。一般の人が理解しやすい判断材料が足りないとして「政府は処理水の問題を国民的議論にする気があるのだろうか」と疑問も口にした。
 第1原発事故を受け福島県産などの食品の輸入規制を今も続ける台湾。現地環境団体の沈軒宇(しん・けんう)さん(27)によると、23の団体などが「国境を越える処理水拡散に憂慮する」といった意見を提出している。
 沈さんは、処理水の処分方法は台湾でも大きな関心事だとし、日本語に限定した意見公募を「われわれや、福島県周辺に住む外国人の意見をもないがしろにしている」と批判する。

丁寧に聴くなら「広く対話」不可欠

 海洋放出には、福島だけでなく隣の宮城、茨城両県の漁業団体も反対の姿勢を崩さない。
 原発事故の風評被害でホヤやカレイの魚価が一時、半分以下に落ち込んだ宮城の担当者は「やっと価格が戻ったのに、また下がれば今度こそ息の根が止まる」と危ぶむ。茨城の担当者は、福島県沖での操業を今も自粛していることを挙げ「処理水が流されたら漁場を失ったままになりかねない」と懸念した。
 環境保護団体FoEジャパンが今年4~5月、福島など太平洋に面した6都県の134漁協へのアンケートでは、回答した42漁協のうち約9割が海洋放出に反対した。
 意見公募制度を所管する総務省によると、国が公募期間を延長するのは珍しいという。だがFoEジャパンの満田夏花(みつた・かんな)事務局長は「期間を1カ月延ばしたからといって『意見を丁寧に聞いた』と言えるのか。意見聴取会合も、経産省が選んだ団体ばかりではなく、より広い対話が必要だ」と指摘している。(共同)

文書でも意見募る、7月31日まで

 経済産業省資源エネルギー庁は汚染水を浄化処理した後の水の処分について、文書による意見も募集している。募集期間は7月31日(金)まで(必着)。郵送の場合は消印有効。電子メール、FAX、郵送、電子政府の総合窓口で受け付けている。日本語に限る。
 経産省は個別の意見への回答はしないが、後日一括して政府の考え方を公表する。
 詳しくは「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場(経済産業省資源エネルギー庁)」を参照。以下、経産省資料より。

(1)提出用の様式に以下の内容を記載(任意)
・意見提出者の氏名、連絡先(電話番号、住所等)
・職業、勤務先・学校名(個人の場合)
・団体名、団体の所在都道府県(団体の場合)
(2)提出先
・ 電子メール:takakushu-iken@meti.go.jp。件名を「書面による意見提出」と記入。
・FAX:03−3580−0879 廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛
・ 郵送:〒100-8931 東京都千代田区霞が関 1-3-1 経済産業省別館5階 526 廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛 ※封書に「書面による意見提出」と赤字で記入。
電子政府の総合窓口

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