東京電力は4月29日、福島第一原発1、2号機建屋そばに立つ排気筒の解体で、高さを半分にする切断作業を終えた。高さは120メートルから59メートルとなった。早ければ5月1日にも、筒頂部に雨水の流入を防ぐためのふたを設置して作業を完了する。
(小川慎一、動画編集は山川剛史)
東電によると、29日午前3時前に、最終ブロックとなった筒本体の切断を終了。その後、6時半に切断ができていることを確認し、大型クレーンで地上に下ろした。
昨年8月に始まった作業はトラブルの連続だった。クレーンで筒頂部までつり上げて遠隔操作する大型の切断装置の不具合が多発。昨年12月には、回転のこぎりの刃が筒本体に挟まって抜けなくなり、作業員が高さ110メートルの筒頂部に上がり、電動工具で筒を切断したこともあった。東電は解体完了の時期を見直して、当初計画の今年3月中から5月上旬に延期していた。
5月に筒頂部に設置するふたは、重さ3.2トン。天板は鋼鉄枠に透明のポリカーボネート板がはめられている。クレーンでつり上げて筒内部にはめ込み、上部の治具を押し込むと、突っ張り棒が筒内部に押し当てられてロックする仕組みとなっている。
排気筒は2011年の事故で、1号機原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)に使われ、内部が高濃度の放射性物質で汚染。筒を支える鉄塔に複数の損傷もあり、倒壊リスクを下げるために上半分の解体が必要となった。解体は、建設会社エイブル(福島県広野町)が請け負った。
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