<東海第二原発 再考再稼働>いばらき原発県民投票の会共同代表・徳田太郎さん「県民の声は県民投票で」

 日本原子力発電(原電)東海第二原発(東海村)の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定を大井川和彦知事に求めるため、県内有権者の3.7%に当たる9万899筆の署名を集めた。5月25日に、知事への直接請求を予定している。
 署名活動は1月6日から4月12日まで実施した。終盤には、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で戸別訪問や街頭署名が制約されたのは残念だが、こういう時期にもかかわらず、法定必要数の1.87倍もの署名をいただいた。重みのある数字だと思う。
 知事は6月8日開会の県議会定例会に、意見を付けて条例案を提出することになる。ただ、原発再稼働に関する住民投票を目指した他県の先行事例を見ても、成立にこぎ着けるのは簡単ではないだろう。

いばらき原発県民投票の会共同代表・徳田太郎さん

 県民投票に対しては、選挙で選ばれた県民の代表者で構成する県議会を否定するものだとの批判がある。だが、民主主義を実現するための手段は多様であるべきだ。代議制民主主義イコール民主主義なのではなく、民主主義を成り立たせる回路の一つと考えれば良い。
 そもそも選挙では、原発再稼働だけが争点になるわけではないし、候補者が意図的に原発の争点化を避けることもある。
 東海村では、無作為抽出した市民が原発について「自分ごと」として話し合おうという動きも出ている。これも民主主義の一つの回路だ。住民投票をやったり、議会で議論したり、いろいろな回路を経るからこそ、練られた結論となる。一つの回路だけだと機能不全に陥りやすい。 
 6月の定例会で審議することが「拙速にすぎる」という意見もある。だが、私たちが提案している条例案は、投票の時期を「知事が再稼働の是非を判断するまでの期間において、知事が定める」として期限を区切っていない。誤解のないようにお願いしたい。
 知事はよく、再稼働の是非を判断するに当たって「県民の声を聞く」とおっしゃる。「声」を聞くには、県民投票はいちばん良い手段だ。一人一人が考え、悩みながら1票を投じようとする中から「声」が生まれてくる。ぜひ県民投票を「使って」いただきたい。
 署名した9万人あまりの中には、再稼働に反対という人も、再稼働すべきだという人もいる。その思いの強さもさまざまだ。ただ、意思決定の過程に参加したいという点は共通している。知事や県議会には、しっかりと受け止めてほしい。(聞き手・宮尾幹成)

<とくだ・たろう>1972年、牛久市生まれ。国学院大文学部卒。市民と行政の対話を促す「ファシリテーター」として、全国で地域づくりや福祉活動などの支援に取り組む。2018年、法政大大学院で修士課程修了(公共政策学)。19年3月、「いばらき原発県民投票の会」発足に伴い共同代表に就任した。

東海第二原発とは?

 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。
 2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は21年3月までかかる見込みで、資金支援のため、東京電力などが約3500億円を拠出する構図も固まった。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。

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