東海第二の使用前検査、再稼働に直結せず 原電が6市村の申し入れに回答

 日本原子力発電(原電)は4月14日、東海第二原発(東海村)の再稼働の際に事前同意を求める村や水戸市など周辺6市村に対し、事故対策工事と並行して実施する使用前検査は「再稼働に直結しない」と確約する文書を提出した。使用前検査には原子炉を起動する「再稼働」後の工程もあることから、原電が6市村の同意を得なければ、全ての検査を終えることはできない。(松村真一郎、水谷エリナ)

山田村長(左)に申し入れへの回答書を手渡す原電の村部東海事業本部長=茨城県東海村役場で

 原電の村部良和東海事業本部長が村松衛社長名の文書を村役場に持参し、山田修村長が6市村の首長を代表して受け取った。
 原電は原子力規制委員会に提出する使用前検査の申請書で、「使用開始」の予定時期として、工事完了時期と同じ「2022年12月」を記載。使用開始は営業運転を指す。
 これに対し、首長らは「再稼働の時期と誤解されかねない」と反発し、検査が再稼働に直結しないとの確約▽検査の内容やスケジュールについての住民への説明強化-の2点に関し、文書での回答を求めていた。
 原電が提出した文書は、「2022年12月」と記載したのは手続き上の整合を図るためで、確定したものではないと説明。その上で、使用前検査もこれまで進めてきた事故対策工事と同様、再稼働には直結しないと言明した。自治体ごとにきめ細かく住民説明の場を設け、そのための具体的な計画も示すとした。
 村松社長は3月末の記者会見で、6市村の事前同意が得られていなければ、原子炉を起動する最終段階の検査項目には入れないとの認識も示している。
 山田村長は報道陣の取材に「使用前検査の手続きが再稼働に直結するものではないと明確にしてもらったので、そこはよしとしたい」と評価。住民説明については「今までは説明会のレベルを超えていない。対話をするような場が足りない」と注文を付けた。
 村部本部長は、戸別訪問や10~20人規模の説明会を開く考えを示し、「先方の要望も聞くような説明もしていきたい」と話した。

検査中に原子炉起動

 今回、問題となった「使用前検査」は、原発の再稼働に必要な原子力規制委員会の手続きのうち、設備の詳細な設計を定めた「工事計画」の認可を受けた後に実施される。実際の工事が計画と食い違っていないか、完成した設備に技術的な問題はないかを、工程ごとに確認する検査だ。
 まずは原子炉が空っぽの状態で、原子炉本体や冷却系統などの材料、寸法、据え付け、耐圧、漏えいなどを調べる。発電用タービンの性能も確かめる。
 次に原子炉に核燃料を入れ、核燃料の取り扱い設備や貯蔵設備などの性能を確認。さらに原子炉を起動して臨界反応を起こした状態で、一連の設備の性能をチェックする。この段階の検査に入ることを「再稼働」と呼んでいる。
 徐々に出力を上げ、営業運転時と同じ「定格出力」に至ったところで、異常なく運転できるかを総合的に確かめる。これに合格すれば営業運転に移行する。
 新設の原発を初めて稼働させる時は全ての検査項目をこなす必要があるが、既存の原発の再稼働に当たっては、新規制基準で新たに要求された設備の検査が中心となる。東海第二原発では、新設の非常用注水設備などを重点的に調べる。
 原発の検査制度を巡っては、電力会社の自主的な安全性向上対策を促す「新検査制度」が4月に施行。使用前検査は「使用前事業者検査」に改められた。東海第二の場合、工事計画認可が2018年10月に済んでいることを考慮し、旧制度で検査する。(宮尾幹成)

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