浜岡原発 再稼働に賛成ゼロ、反対8人 静岡県内首長アンケート

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止から8年が過ぎた。静岡県の自治体トップに実施した本紙アンケートによると、現時点で再稼働に賛成する首長はゼロ。避難計画の策定が必要な31キロ圏内4市を含め、8人が「安全安心が担保されていない」などと反対の意思を示した。再稼働に必要な自治体の同意について、慣例となってきた立地自治体以外にも広げるべきだと、15市町の首長が回答。再稼働を巡る住民投票の実施には、4市町の首長が賛成した。(内田淳二、河野貴子)

中部電力浜岡原発=静岡県御前崎市、本社ヘリ「まなづる」から空撮

 アンケートは知事と35市町の首長を対象とし、伊豆市と西伊豆町を除き回答を得た。
 浜岡原発が原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合した場合の再稼働について、「賛成」はゼロ、「反対」は8人、「その他」は26人だった。
 浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、中電は耐震工事や津波対策を進めている。反対の理由は「安全安心の確実な担保が必要不可欠」(磐田市)と安全性を疑問視する意見が多かった。
 「その他」とした首長は、「国が判断するべきだ」(浜松市)と国の責任を指摘する声や、「適合性審査中で議論すべきではない」(御前崎市)と判断を避ける声が目立った。一方で「使用済み核燃料の処理方法が確立されていない」(県)、「市民の理解が得られなければ再稼働できない」(掛川市)などと課題に言及する首長も多かった。

事前了解権 15市町が「拡大必要」

 再稼働の事前了解権を持つべき自治体の範囲については、10市町が「31キロ圏内の11市町」と回答。「周辺4市」と「全自治体」を合わせると、15市町になった。半数近い首長が、現状では原発の立地自治体のみが持つとされる事前了解権を広げるべきだ、と考えている。
 重大事故時の住民の避難計画策定が義務付けられている31キロ圏の11市町の中では、6市町が立地自治体以外の自治体を含む再稼働判断を望んだ。
 「全自治体」と回答した島田市は「風評被害を含めて影響は広範囲に及ぶ」と説明した。「31キロ圏内の11市町」を選んだ袋井市は「圏内の住民は事故により被ばくをする可能性がある」としている。
 一方、立地自治体の「御前崎市」を選択したのは同市と川根本町、裾野市。御前崎市は「周辺自治体の意見は県が集約すると理解している」と答えた。
 「その他」は県と15市町で、国による法整備を求める意見が目立った。
 東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働を巡る事前了解権は、2018年3月の新協定で30キロ圏6市村に拡大。浜岡でも10キロ圏の御前崎と牧之原、菊川、掛川の4市が勉強会を開くも思惑が食い違い、見直しの議論に踏み込まなかった。

是非判断の県民投票 4市町「やるべき」

 県が再稼働の是非を判断する際の参考として県民による住民投票がふさわしいかを尋ねた。
 回答した33市町のうち、「賛成」を選んだのは島田、伊豆の国両市と小山、河津両町の4市町。島田市は、事故が起きれば全県民に影響が及ぶ可能性を指摘し「住民投票で県民の意見をくむべきだ」とした。
 「反対」は7市町。御前崎市は「住民投票をすべき事案ではない」、袋井市は「県全体をエリアとする住民投票には反対」とし、エリアを決めるなら「31キロ圏11市町」が考えられると回答。富士宮市と南伊豆町は再稼働自体に反対し、住民投票は必要ないとした。
 「その他」の22市町は「県や県議会が判断すべきだ」との意見が多かった。県は「具体的に検討する段階ではない」と賛否を明らかにしなかったが、「重要な案件に住民の意思を直接表明するのが適切で、住民投票はその手段となりうる」と理解を示した。

浜岡原発とは?

 中部電力が唯一保有する原発。1、2号機は2009年に廃炉、3~5号機は政府の要請を受けて、11年5月14日までに全基停止した。3、4号機は再稼働に向けた審査を原子力規制委員会が進めている。南海トラフ巨大地震の想定震源域に立地し、16年には津波対策で海抜22メートルの防潮堤が完成した。

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