限界超すタンク群 福島第一

 東京電力福島第一原発では、事故発生から5年半がたっても、いまだ汚染水問題に足を取られ、廃炉作業に全力を注げずにいる。何とか汚染水を減らそうと、さまざまな対策が講じられてきたが、どれも実感できるほどの効果はない。広大な松林だった敷地も、今はタンク置き場と化し、用地も限界に近づく。問題解決への道のりは依然、長い。(小川慎一、山川剛史、写真は平野皓士朗、本社ヘリ「あさづる」から)

 グレー、水色、白。上空から見ると、福島第一は巨大なタンク展示場のようだ。その数およそ千基。内部には約九十万トンの大なり小なりリスクの残る処理水がたまっている。現場では汚染水漏れを繰り返してきたボルト締め型タンクが解体され、耐久性のある溶接型タンクに置き換える作業が進んでいる。
 建屋の地下には七万トンを超える高濃度汚染水がたまり、行く手を阻む。
 原子炉冷却で出た汚染水は、放射性セシウムを除去した後、放射性ストロンチウムなども除去するようになり、福島第一のリスクは確実に減った。
 ただ、溶け落ちた核燃料に注水冷却している限り汚染水の発生は止まらず、さらに建屋に地下水が入り込んで水量を増やす。この水をくみ上げて除染し、冷却水に再利用しているが、半分は使い切れず、タンクにためるしかない。行き場のない水は毎週三千トンペースで増え続けている。
 地下水流入を減らすさまざまな対策が講じられた。高台や建屋周辺の井戸から地下水をくみ上げ、必要に応じて除染して海に放出。「切り札」とされたのは、1~4号機を氷の壁でぐるりと囲う凍土遮水壁だ。三百億円以上の税金を投じて造られ、一般家庭一万二千軒分の電力を使って地下に冷凍液を循環させている。だが、凍結開始から半年近くたっても、建屋への地下水流入は一向に減らない。
 東電は、東京五輪・パラリンピックが開かれる二〇二〇年中に、建屋地下の高濃度汚染水を九割減らす目標を立てたが、凍土遮水壁が十分に機能したとしての話だ。原子力規制委員会の検討会では「凍土壁は破綻している」と指摘する意見も出始めている。

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