大きな作業が目前 福島第一原発の今

 事故発生から8年の東京電力福島第一原発では、3号機プールからの使用済み核燃料の取り出しや、損傷の激しい1、2号機排気筒の上部解体など大きな作業がいくつも目前だ。2月19日、慌ただしさを増す現場を取材した。

 敷地内の取材は1年ぶりで、今回は3号機の原子炉建屋が主な取材先だ。大型休憩所付近は東京都内と変わらないほど放射線量は低かったが、タンク群を抜けて1~4号機に近づくにつれ線量がぐんぐんと上がる。3号機前の線量表示器は毎時50.6〜112.7マイクロシーベルトを示していた。
 3号機は鋼鉄製の壁でコの字形に囲われている。事故発生の翌年、作業員たちが人海戦術で組み上げた。その苦労を思い返した。簡易エレベーターで最上階に上がると、海側のタービン建屋の屋根が目に入った。平らなはずがボコボコで、草も生えている。雨水が入り、汚染水を増やす原因にもなっている。「よく崩落しなかったものだ」。水素爆発のすさまじさを実感した。
 囲いの上に設置された建屋カバー前に着いた。この日は作業が多く、内部に入れなかったが、多くの作業員が機器のチェックをしていた。入り口付近は毎時30マイクロシーベルト強だが、使用済み核燃料プール周りは540マイクロシーベルトに跳ね上がるという。2時間で一般人の年間被ばく線量限度に達する値だ。入り口付近はカバーの架台が放射線を遮蔽(しゃへい)するが、プール周りは遮るものがなく、プールにはまだ約20立方メートルの細かな汚染がれきが残る。苦労して建屋床の除染もしたが、元の汚染の程度があまりにも高かった。
 使用済み核燃料の取り出しは基本的には遠隔操作。それでも機器メンテナンスなどは人の手に頼るしかない。作業員の安全を祈らずにはいられなかった。 (山川剛史)

原子炉建屋上に設置された巨大なカバーの内部
3月下旬からプール内の核燃料取り出しに向け、作業員が機器のチェックに追われていた
免震重要棟内では、3号機の使用済み核燃料取り出しに使う遠隔操作の機器チェックが進められていた
汚染水の浄化設備では、作業員たちが放射性物質を吸着するフィルターを交換していた
大型休憩所の屋上からは、原発事故で発生した汚染土を長期保管する中間貯蔵施設の一つが迫っていた
3号機から取り出す使用済み核燃料566体は、共用プール建屋に移される。既に空き容量が確保されていた
3号機原子炉建屋前。分厚い鉄板の下は事故発生当初の土がそのまま残っている
3号機のカバー脇からは、大きく損傷したタービン建屋の屋根が見えた。近く大規模修理が予定されている
大きく損傷している3号機タービン建屋の屋根(2019年1月、本社ヘリ「おおづる」から)

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