問われる「反省」 事故から8年の福島第一原発ルポ

 東京電力は30日、3月で事故から8年となる福島第一原発を報道機関に公開した。構内では、1日約4000人が事故収束作業を続けている。タンクにたまる放射性物質を含む水の管理や、1~3号機で溶け落ちた核燃料の取り出しなど難題が山積み。40年かかるという廃炉完了への遠さを実感した。(松尾博史)

構内に立ち並ぶタンク。放射性物質を含んだ110万トン近い水を保管している(代表撮影)=東電福島第一原発で

タンク汚染水 解決策見えず

 新聞記者になって17年、福島第一には初めて入った。
 約350万平方メートルの敷地のうち、約25万平方メートルを占める場所に、高さ10メートルほどの巨大な灰色のタンクが立ち並んでいた。汚染水を浄化しても残る放射性物質のトリチウムなどを含んだ水が入っており、その総量は110万トンに及ぶ。
 国はタンク水の海洋放出を念頭に置くが、「漁業が壊滅的な打撃を受ける」と地元が強く反対。2020年までに137万トン分のタンクを確保する計画だが、それも残り5年ほどでいっぱいになる。
 「タンクを増やせないのか」という質問に、阿部賢治・東電取材グループマネージャーは「廃棄物の処理施設などの用地も必要」と、現状では難しいとの認識を示した。一方で東電は水の処分について、国の方針決定を待つという主体性の欠けた姿勢をとる。

2、3号機間で毎時250マイクロシーベルト

 2、3号機間の通りは除染や地面の舗装が進み、防護服なしで歩けるようになった。それでも放射線量は毎時250−マイクロシーベルト。4時間その場にいれば1ミリシーベルトとなり、一般人の年間被ばく限度に達する。「ここでの取材は5分ほどに」と、広報担当者から早くバスに引き揚げるように促された。

3号機建屋の上部にはプールからの核燃料取り出しに向けてドーム型の屋根(左上)が設置されている

「反省と教訓」の言葉は被災者に届くのか

 東電は福島第一への視察を積極的に受け入れ、昨年11月には原発から8キロの福島県富岡町にある福島第二原発のPR館を改装し、廃炉資料館を開設した。事故当時を再現した映像を見ることができ、既に5000人以上が訪れている。
 「反省と教訓」と名付けられた展示スペースでは、男性がゆっくりと話す声が流れている。「私たちが思い込んでいた安全とは、東京電力のおごりと過信にすぎなかった」
 だが、音声と現実には大きな溝を感じる。原発事故の刑事裁判では、旧経営陣3人が無罪を主張。住民に賠償金を支払うよう裁判外紛争解決手続きで促されても、東電は拒否を続ける例が目立つ。賠償と廃炉費用の捻出を名目に、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働まで目指している。廃炉完了よりも、「反省と教訓」の言葉が被災者に届く日の方が遠いかもしれない。

東電廃炉資料館の「反省と教訓」のコーナーに展示されているパネル=福島県富岡町で

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