安倍政権が後押しの原発輸出 全て頓挫

 日立製作所が英国の原発計画を凍結したのは、リスクの高い事業なのに、英国政府の支援拡大や、ほかの民間企業の出資が見込めず、時間と費用をこれ以上浪費できないと判断したからだ。ここ数年の再生可能エネルギーの価格低下など経営環境の変化にも対応できなかった。日本政府とともに国策として進めた「原発輸出」のツケは、巨額損失という形で回ってきた。 (吉田通夫)

英原発凍結 日立社長「将来リスクを回避」

 日立は昨年10月に、2019年3月期の連結純利益が4000億円になる予想を発表していたが、このうち3000億円が計画凍結に伴う損失処理で吹き飛び、1000億円に下方修正した。東原敏昭社長は17日夜に東京都内で会見し、このまま事業を続けても損失が拡大すると見込み「将来にリスクを持ち越さないためにも早く凍結を判断した」と語った。

日立 資金支援の拡大見込めず

 日立は12年に英国の原発事業会社を買収し計画に着手したが、安全対策の強化で事業費の見通しが当初の2兆円から3兆円規模に膨張。リスク分散のため出資企業を募りつつ、利益が出るよう英政府に高い電気料金を設定するよう求めた。しかし、英国では風力発電の価格が原発を下回るなどし、批判が高まって交渉は難航。利益を生む見込みがなく「原発にカネを出す企業はない」(日立幹部)と凍結に追い込まれた。
 ほかの原発輸出計画も、すべて頓挫した。リトアニアでは、日立が受注する見込みだった原発の建設計画が12年の国民投票の結果、凍結。ベトナムで日本企業が原発を新設する計画は16年にベトナム側が撤回。17年には東芝の原子力子会社だった米ウェスチングハウス・エレクトリックが建設費の高騰などで破綻し米国内の2基の建設は中止に。残る三菱重工業がトルコで進める新設計画も、やはり建設費の高騰で断念する方針だ。
 日立の東原社長は「当面は国内で原発の再稼働と廃炉処理、新設も含めて地盤固めする」と述べた。

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