日立が英原発の建設凍結 行き詰まる原子力政策

 日立製作所は17日、英国で進めてきた原発の新設計画を凍結すると発表し、安倍政権が成長戦略の柱と位置付ける「原発輸出」はゼロになる。国内では新設はおろか既存原発の再稼働も進んでいない。高速炉の研究開発や使用済み核燃料の再利用、核のごみの最終処分場建設など政府の原子力政策はすべて行き詰まっている。 (吉田通夫)

 日立は英中西部アングルシー島で原発2基の建設を計画。事業費が安全対策の強化で想定を1兆円超上回って3兆円規模になる見通しになったが、資金の出し手が集まらず、日立は1社では負担できないと判断した。撤退となる公算が大きく、関連資産の価値がなくなると見込んで2019年3月期連結決算で3000億円の損失を計上する。
 計画は政府が後押しする原発輸出の一つ。東京電力福島第一原発事故の後、政府は国内での新設を棚上げして海外で相次ぎ受注。しかし、事故への懸念から見直しが相次ぎ、ベトナムなどで日本企業が受注した計画はすべて頓挫した。残るトルコでの計画も三菱重工業は断念する方針だ。
 国内では既存原発の再稼働が進まず、新しい規制基準で稼働したのは9基。一方、東日本大震災前に54基あった原発は34基に減少した。今後も減り続け、政府が掲げる「2030年度に必要な電力の20~22%を原発でまかなう」という目標の達成は難しい。
 また、原発で使い終わった燃料は再利用する計画だが、そのために建設している青森県六ケ所村の工場は、予定した1997年の完成が20年超も遅れている。より効率的に再利用できるとして研究する高速炉も、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)は16年に廃炉が決定。政府はフランスの計画に相乗りして共同研究するとしたが、同計画も見直しが決まり実現のめどが立たない。さらに、使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物や、廃炉になった原発を解体して出る「核のごみ」は、行き場すら決まっていない。
 それでも政府は「日本には資源がない」(経済産業省幹部)などとして維持推進を掲げる。これに対し、海外では原発に見切りを付け、再生可能エネルギーを安く安定して利用する技術開発が進む。拓殖大政経学部の大石高久教授(経済思想史)は「原発は50年前の技術で限界にきており、しがみついていては世界から後れをとる」と指摘している。 

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