もんじゅ廃炉現実味 核燃サイクル計画破綻 移管勧告へ 担い手探し困難

 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉が現実味を帯びてきた。原子力規制委員会は点検漏れ問題で文部科学省に対し、信頼できる運営主体を探すか、安全対策を抜本的に改善するかを勧告する。どちらかを実現しないと、廃炉は避けられない。もんじゅは国が推進してきた核燃料サイクル計画の中核的な存在。なくなれば、十兆円をつぎ込んできた計画は名実ともに破綻する。(小倉貞俊、榊原智康)
 規制委は四日、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構では、停止しているもんじゅの保全管理もできておらず、運転は任せられないとの判断を下した。
 かつて「夢の原子炉」とうたわれたが、二十年以上も前に造られ、稼働期間はわずか二百五十日。冷却材に爆発的燃焼の危険性が高いナトリウムを使い、維持費もかさむ。機構は二十年前のナトリウム漏れ事故以降、甘い管理体制を改善する機会は何度もあったが一向に進まない。まだ待てというのか-。
 規制委の委員五人は全員一致で、文科省への勧告という重い決断をした。
 核燃サイクルは、一般的な原発系と高速炉系の二系統で、使用済み核燃料を再利用する計画。十兆円が投じられてきたが、どちらの循環も回るめどはない。原発で核燃料をMOX燃料として再利用するプルサーマルは、海外で製造した燃料を使って一部始まったが、使用済みMOXをどうするのかは白紙。もんじゅがなくなれば、高速炉系の「輪」は名実ともに消える。
 もんじゅの新たな担い手を半年以内に見つける必要に迫られる文科省は「運営主体は幅広くいろいろなことを検討していきたい」(高谷浩樹研究開発戦略官)と話す。
 考えられる担い手には、(1)文科省所管の別の研究開発法人(2)機構から独立したもんじゅ部門(3)民間の原子力事業者-などがあるが、どれも難しい。
 原子炉の運転経験は絶対に必要な条件で、単なる機構内の看板の掛け替えでは規制委が納得しない。
 文科省幹部は「日本原子力発電(原電)は、もんじゅの次につくる実証炉を受け持つ予定だった」と原電の名を挙げつつも、「不備だらけの現状で、もんじゅを受け取る経営判断をするだろうか」と話す。
 来週にも勧告の具体的な内容が決まり、文科省に出される。これまでの経過からすると、文科省からは中途半端な回答しか出てこないこともあり得る。中途半端で認めれば、規制委の存在理由が問われる。
 一方、文科省の回答を不十分とし、もんじゅの廃炉まで踏み込めば、昨年四月のエネルギー基本計画で核燃サイクルの維持ともんじゅ存続を打ち出した政府の方針と対立する。
 四日の記者会見で、田中俊一委員長にあらためて覚悟を問うと、「(核燃サイクルを)どうするかは国の政策マター(問題)で、私たちがどうこういう話ではない。申し上げているのは、もんじゅの安全の問題への懸念だ」と述べた。

解説/核燃サイクルに影響

 原子力規制委員会が、日本原子力研究開発機構に任せていたのでは、高速増殖原型炉もんじゅの安全は保てないとの判断を下した。新たな受け皿が見つけられなければ、もんじゅの廃炉も現実味を帯びてくる。もんじゅは国が推進してきた核燃料サイクル計画の中核的な存在で、国は計画の抜本的な見直しを迫られる可能性もある。
 もんじゅは一九九五年に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こして以降、ほとんど稼働したことはない一方で、ナトリウムを液状に保つため膨大な電力を使い、維持費は年間百数十億円に上る。
 点検漏れ問題では、東京電力福島第一原発事故を経てもなお、機構の安全への意識が低いことを明らかにした。「体制を見直し、問題は解決した」と表明した後も次から次へと新たな問題が表面化したほか、規制委の会合で、機構の幹部は「福島事故の前後で検査のあり方が変わり、戸惑っている」とも発言。
 大きなリスクを抱えた原子力を扱うには、万全の上にも万全を期すのが最低条件。にもかかわらず、旧来の保守管理で検査さえクリアすれば十分との認識を繰り返し示した。
 規制委が機構からもんじゅを取り上げる判断をしたのは当然だが、老朽化したもんじゅの担い手を見つけるのは難しい。国が十兆円もかけて進めてきた核燃サイクルの行方に大きな影響を与えるだけに、規制委がどこまで安全の問題に切り込めるのか、力量が問われる。(山川剛史)

(メモ)日本原子力研究開発機構
 文部科学省所管の独立行政法人で、2005年、当時の日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して発足した。茨城県東海村に本部を置き、職員は約3700人。略称はJAEA。高速増殖原型炉もんじゅの開発・運営のほか、放射性廃棄物の処分や東京電力福島第一原発の廃炉などの技術開発を担う。

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