日米が原発推進で協力 覚書合意、時代に逆行

 日米両政府は13日、原子力について温室効果ガスを排出しない「クリーン」なエネルギーとして位置付け、推進に向けて協力する覚書に合意した。安全対策などのコスト高で苦境に立つ原発を、地球温暖化対策に役立つ電源として評価することで盛り返したい思惑がある。だが、クリーンで安価な電源として再生可能エネルギーが世界的に広まる中、両国の狙い通りには進みそうにない。

 覚書では、革新的な原子炉を含む研究開発▽廃炉や核廃棄物の管理▽安全性の向上-などの分野で協力することを確認した。具体的には、東京電力福島第一原発の廃炉作業や除染でも引き続き協力するほか、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、安全に管理する方法を共同研究するため、話し合いを進める。
 また、今年5月に始まった原子力推進の国際的な取り組み「NICE Future(ナイス フューチャー)」を支持するとした。日本は米国、カナダとともに発案国で、これまでに英国やロシアなど計9カ国が加盟している。 (伊藤弘喜)

【解説】原発はクリーンエネルギー?温暖化対策で存在感高める狙い

 日米が原子力推進で協力する覚書に合意したのは、世界的に存在感を失いつつある原発を地球温暖化対策に欠かせない電源として位置付ける機運をつくりたいためだ。
 米国の原発では、シェールガス革命による安価な天然ガス発電や再生可能エネルギーに押され、寿命がくる前の早期閉鎖が目立つ。日本では再稼働が進まず、新設の見通しは立たない。他国の原発新設事業でも、安全対策に費用がかさみ、工期の遅れが相次ぐ。
 こうした状況を変えようと始まったのが、覚書に盛り込まれた原子力推進の取り組み「NICE Future」だ。13日に日本では初めてとなる関連イベントが開かれ、世界原子力協会(WNA)やOECD原子力機関(NEA)の幹部などが出席。いわば国際的な原子力ムラが後押しするキャンペーンといえる。
 だが、東京電力福島第一原発事故の長引く影響や、原発の使用済み燃料の行き場が見つからない状況を考えれば、日本が原発をクリーンな電源として推進する資格があるのか疑問だ。
 世界各国で再生エネがコストを急速に下げ、拡大を続ける流れは止まらない。脱原発を推進する市民団体「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は「原子力はコストもリスクも高すぎることは明らかで、支援する意味はない」と指摘する。

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