廃棄物地中処分 アンケ 都合よく報告 原発環境整備機構 「国民の理解進んだ」

 高レベル放射性廃棄物の地中処分を検討する原子力発電環境整備機構(東京)が二〇一〇年秋、処分方法や原発について全国で実施した大規模アンケートで、原発反対の意見が賛成を大きく上回っていたのに、同機構は国の原子力政策を決める場で「地中処分の安全性や必要性の理解が進んだ」と都合のいい部分だけを報告していた。=関連<2>面
 機構は一〇年十~十一月、約十五億円をかけ、テレビCMや横浜、名古屋などで処分事業への理解を促すPR活動を展開。この一環で、民間調査員を使って全国約五万二千人に高レベル廃棄物や地中処分の認識などに関する対面アンケートを実施し、インターネットでも意見を募った。
 寄せられた意見のうち約二万八千人分は機構のホームページで公開されている。本紙は無作為に選んだ計約七千人分を検証。
 多くは「問題を初めて知った」「よく考えたい」などだが、原発への賛否をある程度はっきりと述べた意見を数えると、反対(五百三十八件)は賛成(三百五十五件)の約一・五倍あった。
 反対意見は、主に原発自体や高レベル廃棄物の地中処分が危険だとし、太陽光など再生可能エネルギーへの転換を求めた。賛成意見は、電力の安定供給や温暖化防止から原発は必要というものが多かった。ただ、賛成の中にも、「安全面では不安が大きい」と、消極的な賛成も少なくなかった。
 キャンペーンの結果は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の三日前の昨年三月八日に開かれた原子力委員会の会議に、地中処分の取り組みの現状に関する資料として出された。「地中処分の安全性に対する認識や、理解(賛成度)が明らかに高くなり、広報活動の成果が出た」と説明された。
 機構は、高レベル廃棄物や処分事業のことを知っているかや、必要性をどう考えるかの意見は分析したが、原発や事業そのものに対する賛否は、統計すら取っていなかった。機構の担当者は「原発の賛否そのものに言及する立場ではない。高レベル廃棄物は既に存在し、処分の必要性は変わらない」と話した。

(メモ) 原子力発電環境整備機構

 原発の使用済み核燃料を再処理すると、超高濃度の放射性廃液が出る。これをガラスで固め(ガラス固化体)、300メートルより深い地中に埋め、最終処分することになっている。その実施団体として2000年10月に設立された。略称はNUMO(ニューモ)。事業費は主に電力会社などの拠出金。固化体は青森県六ケ所村などで約1800本が中間貯蔵されている。

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