東海第二原発 新基準「適合」 被災原発で初 規制委が了承

 原子力規制委員会は4日の定例会合で、日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)が、新規制基準に「適合」したことを示す審査書案を了承した。東日本大震災で被災した原発の新基準適合は初めて。再稼働には40年の運転期限となる11月27日までに、20年の運転延長の可否など残り二つの審査を通過する必要がある。さらに、周辺6市村の同意が必要で、一自治体でも反対すれば動かせない。(越田普之)

原電の東海第二原発=4日午前、茨城県東海村で、本社ヘリ「あさづる」から(中西祥子撮影)

再稼働 6市村の同意必要

 東海第二は震災で自動停止したが、外部電源を喪失。高さ約5.4メートルの津波に襲われ、非常用ディーゼル発電機の一部が使えなくなり、残りの発電機でかろうじて原子炉を冷却した。
 事故を起こした東京電力福島第一と同じ沸騰水型という発電方式で、同型の新基準適合は東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)に続き2例目。
 規制委は5日から1カ月間、意見募集(パブリックコメント)を実施。8月下旬にも、審査書案を正式決定する。
 原電は2014年5月に審査を申請。審査書案によると、津波の高さを最大17.1メートルと想定し、原発の三方に高さ20メートルの防潮堤を築く計画を立てた。火災対策として、総延長1400キロに及ぶケーブルの4割弱を燃えにくいケーブルへ交換し、ほかは防火シートなどで覆う。重大事故で原子炉格納容器が破裂するのを防ぐため、内部の蒸気を抜くフィルター付きベント(排気)設備も整備する。
 対策工事費は、当初試算の倍以上の1740億円に膨らみ、原電は資金調達のため、東電と東北電力から支援を受ける。工事は21年3月までに完了予定。
 再稼働には運転期限の11月27日までに、運転延長の可否と、設備の詳細を定めた工事計画について、規制委の認可が必要となる。工事計画の審査が原電の準備不足で遅れていたが、大型設備の性能試験を終え、間に合う見通しが立った。残りの審査も通過する公算で、廃炉は免れる。
 原電は3月、東海村や水戸市など30キロ圏6市村から、再稼働の同意を得るとした新協定を締結。水戸市議会は6月、「住民理解を得ないままの再稼働は認めない」とする意見書を可決しており、同意が得られる見通しは立っていない。

東海第二原発とは?

日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気は東京電力や東北電力に供給してきた。住民の避難計画策定が必要な30キロ圏の14市町村には、全国の原発で最多の約96万人が暮らす。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。放射能が漏れる重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。

【解説】迫る40年期限 拙速対応

 原子力規制委員会の東海第二原発の審査は、11月末の運転期限までに間に合わせようと、ちぐはぐな対応が目立った。日本原子力発電(原電)と二人三脚で進めた印象は拭えない。「原電は出来の悪い受験生で、規制委は何とか合格させようとする親のようだ」。再稼働に反対する住民の冷ややかな声が、それを象徴する。
 福島事故の反省から、規制委は厳格な審査をしなければならないのに、常に「時間切れ」を意識。防潮堤の議論で原電が液状化対策を省いた設計を示したのに対し、規制委は「液状化の有無を議論している時間はない」と、審査打ち切りをちらつかせた。結局、地盤改良を前提にするよう迫り、要求を丸のみさせた。
 一方、原発に張り巡らされたケーブルについて、規制委は「燃えにくいケーブルへの交換が原則」としていた。ところが、4割弱の交換で対策を容認。原電が対策工事費を賄うため、事故を起こして被災者への賠償を続ける東京電力から支援を受けることの是非にも突っ込んだ議論を避けた。
 時間をかけて念入りな検討が必要な住民の避難計画は、規制委の審査の対象外で、自治体に丸投げされている。周辺14自治体から計画が出そろうめどは立っておらず、住民の不安は置き去りにされたままだ。(越田普之)

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