名ばかり「競争入札」 原発のオフサイトセンター支援業務 電力系だけ参加

 独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が電力グループ会社に発注した原発のオフサイトセンター(OFC)の運営支援業務は、競争入札の形を取りながら、どれも電力会社のグループ会社しか参加しない異常な状況だった。(清水祐樹)

業務は専門性高くない

 競争性を高め、価格を抑えて業務の質も高めるため、国や自治体でも入札改革は盛んに行われている。
 JNESでも外部識者らによる監視委員会を設置しているが、OFCの支援業務については検討していない。本紙の取材に「会計検査院のチェックを受けているので問題はない」との説明を繰り返すばかりだ。
 事実上の一社独占が続く場合、本来なら、入札に参加する条件が不当に厳しくないか、参加できる業者が他にいないかなどをチェックする努力が必要だ。
 OFC支援業務の場合、通常は通信機器の定期点検が主で、緊急時には一時間以内に駆け付け、保安検査官らが早急に対応できるよう支援する内容。専門性は高くなく、機器を扱える業者は多いはずだ。あとは緊急時に五人程度の社員を派遣できるかどうか。
 だが、JNESに取材すると、「入札参加者がいなければ、仕方がない」「(電力会社のグループ会社の)ほかの会社には難しいのではないか」などと、異常な契約状況を問題視せず、「改善を検討する可能性はある」と消極的だ。
 少しでも競争が働いているなら、日本原子力発電(原電)敦賀原発(福井県敦賀市)のOFC業務の入札に関西電力系の関電プラント(大阪)が参加したり、逆に関電の原発の入札に、原電系の原電情報システム(東京)が参加したりしてもいいはず。
 「たまたま、人手が足りずに応募しなかった」。関電プラントの担当者は、敦賀原発OFCの入札に参加しなかった理由をこう強調した。しかし、関電の原発のOFCには関電系、原電の原発のOFCには原電系といった具合に、きれいにお互いの縄張りを侵さないようにしている。
 これでは、不透明な随意契約が続いているのと同じで、電力系以外の会社が参入する雰囲気も生まれない。

福島事故では担当者が発電機直せず

 昨年三月十一日の東京電力福島第一原発事故の際、オフサイトセンターの運営支援業務を請け負っていた東電系の関電工(東京)の社員が到着したのは、震災発生から五十九分後。契約条件の一時間以内ぎりぎりだった。
 JNESが当時の状況をまとめたリポートを読むと、本当に電力会社のグループ会社でなければいけない業務なのか疑問が浮かぶ。
 OFCに着いた社員五人は地震で壊れた非常用発電機の修理に取り掛かったが、直せなかった。結局、修理したのは東電社員だった。
 関電工社員は、東電に頼まれ、隣の公共施設からポータブル発電機を借りてきて、東電のテレビ会議システムを使えるようにし、OFCの電話やファクスを点検した。
 あとはカセットコンロで湯を沸かしてレトルト食品を用意したことくらい。電力や原子力に関する専門知識は必要なかった。

「改善するのが常識」 安念潤司中央大法科大学院教授の話

 競争入札の機能を果たしておらず、「あうんの呼吸」で身内で仕事を回していると思われても仕方ない。原発事故後の厳しい世間の目を考えれば、改善するのが常識だ。JNESの感覚は今までと変わっていないのだろう。

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