福島第二原発 廃炉へ 東電、柏崎刈羽頼みも再稼働時期は見通せず

 東京電力ホールディングスの小早川智明社長は14日、福島県庁で内堀雅雄知事と面会し、福島第二原発(同県富岡町、楢葉町)の全4基を廃炉にする方向で検討すると表明した。福島第一原発事故から7年が過ぎ、「このままあいまいでは復興の足かせになる」と理由を説明した。廃炉が決まれば、東電が持つ原発は柏崎刈羽(新潟県)のみとなり、再稼働に望みをつなげるが、時期は見通せない。 (小川慎一)

東京電力福島第二原発=2016年11月、本社ヘリ「まなづる」から撮影

 原発事故後、福島県は繰り返し、福島第二の廃炉を求めてきた。東電は17基の原発を持っていたが、福島県内の全10基が廃炉の見通しとなった。
 東電が経営再建の柱とする柏崎刈羽1~7号機は、6、7号機が再稼働に必要な新規制基準に適合済み。再稼働の同意権を握る新潟県の花角(はなずみ)英世知事は、原発を推進する自民党の支援を受けたものの、再稼働に慎重な姿勢を示している。
 小早川社長は内堀知事との面談で、原発事故で避難した住民帰還が進まず、風評被害も続いていることを踏まえ、「第一原発の廃炉とトータルで地元の安心に沿うべきだ」と語った。内堀知事は「廃炉は福島県民の強い思い」と応じた。
 東電によると、廃炉方針は取締役会で了承済み。27日に都内で開かれる株主総会でも、株主から質問があれば答える。廃炉工程など具体的なスケジュールについては、小早川社長は取材に「これから考える」と述べるにとどめた。
 東電は、運転開始から30年超の第二原発の廃炉費用を2800億円と見込むが国内で廃炉を終えた原発はなく、想定よりも費用が膨らむ可能性がある。原発事故による巨額の賠償費用を背負う東電にとって、第二原発の廃炉費用は新たな重荷にもなり得る。作業は原子力規制委員会が計画を認めてから始まる。しかし、大量に出る放射性廃棄物の処分先は決まっていない。

福島県の内堀雅雄知事(左)と面会し、福島第二原発の廃炉検討を伝える東京電力ホールディングスの小早川智明社長=14日午前、福島県庁

福島第二原発とは? 東日本大震災では一時危機的な状況 16年にもトラブル

福島第一原発から南へ12キロの福島県富岡町と楢葉町にまたがって立地。1~4号機があり、出力は各110万キロワット。福島第一と同じ沸騰水型の発電方式。1982年から87年にかけて営業運転を始めた。東日本大震災時は全基が運転中で、1、2、4号機は電源を失って原子炉の冷却機能を喪失し、政府は原子力緊急事態を宣言した。東電は格納容器内にたまった放射性物質で汚れた蒸気を外部に放出する「ベント」を準備する一方、1回線だけ残った外部電源で原子炉を制御しながら、冷却用の海水ポンプを修理するなどした。震災4日後に全原子炉が冷温停止状態となり、危機的状況を脱した。全基が停止中。震災後、原子炉内の核燃料は全て各号機建屋のプールに移され、プールには1万76体の核燃料を保管。16年11月22日の福島県沖地震では、3号機のプールの冷却ポンプが停止し、プールから水もあふれるというトラブルが起き、復旧に1時間半かかった。

【解説】遅きに決した決断

 東京電力が福島第二原発を廃炉する方向となったのは当然のことで、むしろ決断は遅きに失したとさえ言える。
 東日本大震災で津波に襲われた後、東電は発電機能も含めて福島第二の復旧作業を進めてきた。福島県からは廃炉を求められながらも、「検討中」を繰り返してきた。だが、福島第一原発事故で、今なお数多くの福島県民に避難を強い、普通の生活を奪った東電が、再び福島県で原発を稼働させられる日が来ると考える方がおかしくないか。
 住民への損害賠償や除染がある程度進んだのは確かだが、原発事故が奪った生活基盤や地域社会が元の形に近づいたとは到底言えない。海側の浜通りでは「復興」と称し、ショッピングセンターなど箱ものが建設ラッシュ。だが、避難指示が解除された後も、住民帰還は進まない。安心して暮らせる状況にはまだないことが大きく影響している。
 福島第二は大事故を回避できたものの、外部電源が生きていたなど幸運に恵まれたことが大きい。東北地方の太平洋側は、津波のリスクが非常に高い。福島第二はいずれも運転開始から30年超。東電が再稼働を目指すとしても、新たな津波対策などに長い年月が必要となる。その間に、原則40年間の運転制限に触れる。技術的な面からも福島第二の廃炉は当然と言える。(編集委員・山川剛史)

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