もんじゅ後継 仏、高速炉計画を縮小 日本と共同開発「緊急性低い」見解

 廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の後継機について議論する経済産業省の作業部会に1日、フランス原子力庁(CEA)の担当者が出席し、日仏で共同研究を進める高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」の計画を大幅に縮小する方針を明らかにした。もんじゅに一兆円超の予算を投じながら、成果が出なかった日本政府は、新たな高速炉開発の柱として、アストリッドを活用する方針だったが、規模縮小で日本の計画も見直しを迫られそうだ。(伊藤弘喜)

 政府は高速炉の実現を核燃料を再利用する「核燃料サイクル」政策に不可欠と位置付けており同政策全体が揺らぐことになる。
 高速炉は、通常の原発で使い終わった核燃料から取り出したプルトニウムを発電の燃料として再利用できる。このため、経産省は実現すれば、核のごみを減らせるほか、ウランの輸入も減らせるとしてきた。
 日本は、使用済み核燃料を全て再処理する方針をとっており、すでに取り出したプルトニウムを国内外に合計47トン保有する。高速炉の開発が遠のけば行き場のないプルトニウムがさらに増えることになる。
 作業部会でCEAの担当者は、アストリッドの出力を当初予定の60万キロワットから10万~20万キロワットに大幅縮小する方針を公表。「当初計画より安いコストで必要なデータが得られる」と説明したが、実証炉の必要性自体についても「現在のウラン市場の状況をみると、それほど緊急ではない」との見解を示した。
 フランス政府は2019年までにアストリッドの基本設計の検討を進める計画を示しているが、20年以降の進め方は決まっていない。
 当初の出力規模で数千億~1兆円近くに上るとされる建設費は固まっておらず、日本の負担額は分からない。

仏の高速炉計画縮小背景に再生エネ重視

 原発から出る使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」政策の要となる「高速炉」について、日本と共同研究を進めていたフランスが計画を大幅縮小する方針が明らかになりました。日本のエネルギー政策にどのような影響を与えるのでしょうか。

Q なぜフランスは計画を縮小したのですか?
A 昨年発足したマクロン政権が、発電量の約7割を占める原発への依存度を2025年までに5割に減らし、再生可能エネルギーを増やす方針を掲げていることが影響しています。費用がどれだけ膨らむか分からない核燃料サイクルへ世論の風当たりが強まっていることもあるようです。

Q 日本はなぜフランスと共同研究を進めているのですか。
A 自前の研究開発が頓(とん)挫したためです。高速炉の実用化には①実験炉②原型炉③実証炉-の段階を踏み、実験データを集めて研究を進める必要があります。日本は②の原型炉「もんじゅ」に1兆1313億円を投じましたが、1994年に稼働してから250日しか動かないまま、2016年に廃炉が決まりました。しかし政府は高速炉の開発を続ける方針で、フランスに資金を出して計画に相乗りすれば③の実証炉に進むために必要なデータを得られると考えたのです。

Q 実現性はあるのでしょうか。
A 高速炉は英国、ドイツなどが実現困難とみてすでに撤退しています。複雑な構造のため、費用がいくらかかるかも分かりません。もんじゅの二の舞いになる心配はあります。

Q このまま進めばどうなる。
A 政府は原発を推進していますが、使用済み核燃料をリサイクルに回すことを前提にしています。原発の稼働を続けながら、リサイクルの要となる高速炉の開発が頓挫すれば、使用済み核燃料や、そこから出るプルトニウムはたまる一方です。プルトニウムは核兵器もつくれる物質なので各国から警戒されています。日本は「プルトニウムは武器ではなく燃料」と言い続けるためにも、成算のないまま高速炉開発に突き進むしかない状況です。今年度予算でもすでに51億円が投じられ、この先いくらかかるか不明です。再生エネの方が世界的に割安になっているのに、原発のために巨額の税金を使うことの是非が厳しく問われそうです。

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