福島第一漏水タンク 水位計5、6基に一つ 確認は目視 早期発見難しく

 東京電力福島第一原発でタンクから原子炉冷却後の処理水三百トンが漏れた問題で、東電はタンク五、六基につき一個しか水位計を設置していないことが分かった。同型のタンクは約三百五十基ある。東電は、温度差を検知するカメラを使って水位の低下がないか見回るというが、基本的には目視。早期に漏えいを見つけるのは難しい状態だ。(岸本拓也)

東電 水位計を増強へ

 東電は、五、六基のタンクを一つのグループとして管理。タンク同士を送水管で連結しておくと、一基に注水するだけでグループ内のタンクに均等に注水され、水位計が一つだけあれば、注水完了が分かる。水位計のデータは無線で現地対策本部に送られる。
 ところが、注水後は一基で問題が起きてもグループ内の他のタンクに影響が及ばないよう、送水管の弁を閉じて各タンクを独立させてしまう。
 その結果、本部で水位が把握できるのは水位計のついた一基だけとなる。他のタンクは水漏れが発生しても、作業員が見回りで水たまりなどの異常に気づかない限り、漏れは分からない。
 東電は一日に二回、見回りをしていたというが、今回の漏れはタンク群の奥で起きており、タンク群周辺の堰(せき)の排水弁が開けっ放しになっていた。雨が降った後などは異常に気づくことは不可能に近い。
 福島第一では四月、計二万トン超の処理水が入った地下貯水池から水漏れが起きた。
 この際も池の水位はじりじりと下がっていたのに、東電は大きな変化しか着目していなかったため対応が遅れた。
 加えて、東電は問題のボルト締め型タンクは水が漏れやすいことも認識していたが、水漏れをいかに早く検知するかの検討は進めていなかった。
 東電の広瀬直己(ひろせなおみ)社長は二十六日の記者会見で「パトロールを増強する。タンクには水位計を付けていくが、それまでの間は(温度を検知する)サーモカメラで水位を監視するなどの対策を進めていく」と話した。

(メモ)高濃度汚染水と処理水

 原子炉建屋地下などには、原子炉内の溶融した核燃料を冷やした後の高濃度汚染水がたまっており、除染装置で放射性セシウムを除去し、塩分も取り除いた処理水を冷却に再利用している。半分ほどしか使い切れず、残りは、タンクにためるしか方法がない。現在、高濃度汚染水は9万トン、タンクの処理水は35万トンある。

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