エネ計画公募意見「黙殺」 原発再稼働政策に反対多数

 2030年に向けた「エネルギー基本計画」の見直しに関し、4月末までに政府に寄せられた306件の国民からの意見を本紙が分析したところ、原発再稼働を急ぐ政府の現行政策に反対を表明する意見が3分の2を占めていたことが分かった。反対意見は審議会ではほとんど議論されず、政府は新計画でも現行の原発拡大目標を堅持する。意見募集しながら反映は拒む経済産業省の姿勢に、審議会委員の一部も「国民の意見が軽視されている」と批判している。(伊藤弘喜)

原発再稼働政策に反対多数

 経産省は昨年夏から計画の4年ぶりの見直しに着手。16日にも新計画案を公表する。「計画策定に際して幅広く意見を募集する」として「意見箱」の名で窓口を設置。年初からホームページや郵送で国民や団体から記名による意見を募集した。多数の意見が集まったが、経産省は傾向などは分類しておらず、審議会で参考配布しただけ。審議でも窓口設置以降3回の会合で国民意見に言及したのは消費者団体顧問の辰巳菊子氏だけだ。
 意見は「基幹電源を原子力に置くのは世界の流れに逆行する」など原発ゼロや縮小を求める声が202件(66%)に達した一方、太陽光など再生可能エネルギーは現行目標より拡大すべきだとの意見が191件(62%)を占めた。
 しかし、政府は新計画で両電源とも4年前に決めた目標を全く変えない。原発は「基幹電源」の位置づけを変えず、電力に占める割合を30年度時点で「20~22%」とする目標も堅持する。16年度実績の1・7%からは大幅拡大する。再生エネは「22~24%(一六年度実績15・3%)」に据え置く。
 日本のエネルギー政策を左右し、国民の安全や生活に大きな影響を及ぼす論議に国民の声が反映されない原因は政府が選ぶ委員構成の偏りにあるとの批判もある。委員は東京電力に融資するメガバンクや原発メーカーの役員、経産省出身者など原発産業の利害関係者が多い。意見箱にも「委員構成を公平にすべきだ。原発再稼働を容認する委員が多すぎる」(60代男性)などの批判が寄せられた。
 審議会で唯一国民の意見に触れた辰巳氏は「原発反対と再生エネ拡大を求める国民の声はほとんど無視された。国民を軽視している」と疑問を呈している。

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