<原発のない国へ 世界潮流を聞く> (4)送電会社 独立性確保を
◆スペイン電力大手イベルドローラ社 カルロス・ガスコ氏

 -いつから再生エネルギーを重視しているのか。
 「2000年代初頭、再生エネへの重点投資を決めた。欧州当局が『これからは温室効果ガス排出減を重視していく』という政策シグナルを発信していた。当社は多くの水力発電所を持ち、天候で変動する再生エネになじみがあった。新しい潮流に多くの大手電力は及び腰だったが、当社の経営陣は『再生エネはいいビジネスになる』と確信し、風力に大規模投資した」
 「それ以来、二酸化炭素(CO2)などの排出を75%削減できた。30年までにはさらに50%削減、50年には実質ゼロになる。脱炭素化と好業績は両立できるし、そうした企業戦略を市場は評価するようになっている」

 -スペイン全体の再生エネの導入量は。
 「昨年の発電量に占める再生エネ比率は30%台。政府は20年に40%へ引き上げる目標を掲げている。蓄電技術が発展すれば、40年にはほぼ100%再生エネで賄えるとみている」

 -原発はどうするのか。
 「スペインでは既存の原発に関し原則40年の運転期限を延長するか廃炉かの議論はあるが、新たに建設する議論はまったくない。新設費用が高いからだ」

 -日本では送電線を大手電力が持っており、自社の発電所が優先され再生エネ会社の接続が妨げられる問題が発生している。
 「欧州ではそのような問題は起きない。欧州連合(EU)のルールにより、発電会社と送電線を運営する送電会社は実質的に別会社でなければならない。送電会社は透明性のある原則に基づき、すべての事業者に送電線への接続を認めている」

 -日本では20年に大手電力から送電会社が分離されるが子会社にとどまる。
 「親会社である電力会社と子会社の送電会社との間にしっかりした情報の壁を築き、独立性を確保しない限り、問題は残るだろう」

 -日本では再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)による国民負担が大きいという批判もある。
 「FITは高い固定価格で電気を買い取るので初期段階の再生エネを後押しする上で有効だ。確かに電気代は一時的に上がるが、再生エネのコストが下がるにつれ、下がっていく。スペインでも1994年にFIT導入以降、入札を取り入れたりして、競争を促し、コストを下げてきた。どの国も同じ問題に直面する。必要に応じて制度改正すればよい」(伊藤弘喜)

<スペインの電力事情とイベルドローラ社> スペインは欧州で最も再生エネが普及している国の一つで発電での再生エネ比率は35%とドイツ(29%)も上回る。イベルドローラはスペイン最大手のエネルギー企業で欧州最大の風力発電会社。2017年連結決算で売上高は4兆円、従業員3万4000人。ガスコ氏は経済・エネルギー相官房室長などを経て同社の国際企業担当上級アドバイザー。

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