<原発のない国へ 世界潮流を聞く> (3)市民が再生エネ後押し
◆米ロッキーマウンテン研究所主幹 リリー・ドンジ氏

 -米国で再生エネを推進する力は何か。
 「電気を使う企業が電力会社に対し、よりクリーンで二酸化炭素(CO2)を排出しない電気を求めるようになったことが大きい。グーグルが2013年に再生エネ重視を打ち出し、流れをつくった。大企業を中心に、生産や販売など企業活動で使う電気をすべて再生エネで賄う機運が広がりつつある」

 -どんな企業が動いている。
 「業種を問わない。アマゾンやフェイスブック、自動車大手ゼネラル・モーターズ、化学大手ダウ・ケミカルなどさまざまだ。病院を経営するカイザーグループも切り替えようとしている。電力会社も変わってきた。例えばアマゾンの拠点を誘致しようと、たくさんの都市が誘致合戦を繰り広げているが、地元の電力会社も巨大顧客、アマゾンの要請に応えるため、再生エネに対応せざるを得ない」

 -中小企業は。
 「小売り大手ウォルマートやアップルは、下請け企業にも再生エネ100%への対応を求めており、中小企業も動かざるを得なくなるだろう」

 -企業が再生エネに向かう理由は。
 「気候変動対策がブランドイメージ向上につながると考えているからだ。消費者の目線を気にする企業ほど、その傾向が強い。再生エネの価格が下がっており、経済的な利点もある。ならば再生エネ100%を目指さない手はないというわけだ」

 -トランプ大統領は地球温暖化対策のための「パリ協定」離脱を表明したが影響は。
 「消費者や企業など需要側の要求が電力業界を動かしている。トランプ大統領率いる連邦政府は離脱を表明したが、米国社会で再生エネ重視のうねりは変わらないだろう。ロッキーマウンテン研究所の呼び掛けで、企業1500社を含む全米8000団体は『今もパリ協定にコミットしている』と表明した」

 -日本は再生エネ導入で遅れている。
 「技術大国の日本は、その気になればすぐ変われる。想像してみてほしい。日本のすべての自動車メーカーが20年の東京五輪で『100%再生エネを目指す』と世界にアピールしたい、と言い出したらどんな変化をもたらすか」
 「どの国でも大手電力会社は保守的で変化を恐れがちだ。変化を促すように、電気を使う企業や人々が電力会社と対話し、後押しする必要がある」

<ロッキーマウンテン研究所> 脱原発や脱炭素に向けたビジネスモデルを提案した「新しい火の創造」の著者の物理学者エイモリー・ロビンス氏らが1982年に設立。職員180人を擁し、企業や自治体の脱炭素・再生エネ導入策を支援する非営利団体。米国と中国に拠点。ドンジ氏は企業の再生エネ活用促進事業を統括。イェール大で経営学修士を取得。

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