福島事故検証棚上げも 柏崎刈羽再稼働を左右 新潟県知事が辞職表明

 新潟県による東京電力福島第一原発事故の検証を進めてきた米山隆一知事が十八日、任期途中で辞職を表明した。東電柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働の行方を左右する取り組みは、今後どうなっていくのか。新知事の判断によっては、原発再稼働に慎重な姿勢が崩れる恐れもある。(内田淳二)

県は事故検証のため、三つのテーマ別の委員会を設置し、計三十四人の専門家が議論を重ねている。二〇〇二年の東電の原発トラブル隠しの発覚を受けて設置された技術委員会が進める事故発生原因の調査は、政府や国会、民間、東電による調査が六年前に終わっただけに、存在感が際立つ。
 一六年十月に知事に就任した米山氏は、事故による住民の生活への影響と避難計画の実効性の検証が不可欠とし、二つの委員会を新設した。原発の再稼働には法的拘束力はないものの、知事の同意が重要な要件。原発の新規制基準に適合した柏崎刈羽6、7号機については「二、三年かかる検証が終わらない限り、再稼働は議論しない」と断言していた。
 新設の検証委は昨年九月に始まったばかりだった。柏崎刈羽原発周辺の住民代表でつくる「地域の会」の石川真理子さん=新潟県柏崎市=は「新潟独自の自慢できる取り組みなのに、この状況ではしらけるだけになってしまう」と懸念。県原子力安全対策課の担当者も「予算もついているので急には変わらないと思うが、どうなるか分からない」と戸惑う。
 「歴史的使命を果たせなかったのはつらい」。米山氏は辞職表明の会見で率直に語った。新知事が「検証を前提としない」と判断すれば、再稼働に必要な地元同意の取りまとめの議論を進める可能性があり、検証の縮小や棚上げの恐れもある。検証を取りまとめる総括委員会委員長の池内了(さとる)・名古屋大名誉教授(宇宙物理学)は「検証は県民に対する責務。誰が知事になろうとも、取り組みを続けてほしい」と話した。

<東京電力柏崎刈羽原発> 新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地する。福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉。全7基で、総出力約821万キロワットは世界最大規模。東電は6、7号機の再稼働を経営再建の柱と位置付けている。両号機は2017年12月、原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合と判断された。避難計画の策定が義務付けられている原発30㌔圏内の9市町村には45万人が暮らす。

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