原発使用済み核燃料、一時保管も手いっぱい 止まらぬ「見切り稼働」

 原発再稼働が進む中、原発を動かせば必ず出る使用済み核燃料は一時保管すら手いっぱい。各原発の敷地内で貯蔵容量を増やす苦肉の策も簡単にはいかない。(内田淳二)

<停滞> 核燃料サイクル政策を維持する日本では、使用済み核燃料は再利用が前提。青森県六ケ所村の再処理工場に運ぶことになっている。ところが再処理工場はトラブル続きで二十四度も延期を繰り返し、稼働の見通しすらたっていない。核燃料サイクルは事実上破綻している。
 原発を動かす電力各社は、使用済み核燃料の一時保管量を増やすことに迫られている。具体的に計画を進めているのは、中部電力と九州電力のみ。島根原発(島根県)を保有する中国電力は「再処理工場がしっかり働くという想定。プールは満杯にはならない」としており、想定が甘い。
 保管容量を増やすのは簡単ではない。東海第二原発(茨城県)を保有する日本原子力発電(原電)や関電などは、「リラッキング」という方法を採用。これは核燃料の間隔を狭めて、プールの保管量を増やすが、冷却性能が低下する恐れがある。専用容器で空気冷却する「乾式貯蔵」という手法もあり、中電が取り組んでいるが、容器に入れる前にプールで十年程度は冷やす必要がある。

<切迫> 東京電力と原電が共同出資し、両社の使用済み核燃料を保管するために造っている中間貯蔵施設(青森県むつ市)を巡っては、新たな動きが浮上。関西電力が相乗りしたいという意向があり、青森県など地元に要請する方針ということが今年一月、一斉に報道された。
 関電は既に、大飯3号機、高浜3、4号機の三基(いずれも福井県)を再稼働させ、五月九日には大飯4号機も動かすため、対策が他社よりも切迫している。福井県からは核燃料の県外搬出を求めら、今年中に県外の中間貯蔵施設の計画地を示すように迫られてもいる。
 再処理の展望はなく、中間貯蔵施設は恒久的な保管場所になりかねない。このため、電力会社が施設を造りたくても、立地自治体の了解を得るハードルは高い。関電の場合、京都府にある火力発電所内の敷地が有力視されたが、地元がそろって反対。手詰まりの状態だ。


青森・むつ市長、受け入れ明言避ける

 東京電力と日本原子力発電が共同出資した使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、関西電力が相乗りを模索する動きが今年1月に報じられた。施設がある青森県むつ市の宮下宗一郎市長=写真=は本紙の取材に、「施設が安全に操業できるか確定していない」とし、将来的な受け入れ可能性について明言を避けた。 (宮尾幹成)

-関電との協議に応じるのか。
 「応じる、応じない以前に、中間貯蔵施設はまだ(原子力規制委員会の)審査の過程にある。安全に操業できるか確定していない段階で、将来のことを議論するのは難しい」
-関電から事前に話は。
 「ない。(報道に)びっくりした」
-どの電力会社も使用済み核燃料の保管場所に困っている。他の会社から協議申し入れがあった場合は。
 「臆測が臆測を呼ぶので、仮定の話はできない」
-使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場は、候補地に名乗りを上げる自治体すら見つかっていない。
 「決まらないでしょう」
-むつ市が中間貯蔵施設を受け入れた経験は、最終処分場についても参考になるのでは。
 「同列に論じられる施設ではない。青森県の場合、最終処分地にしない方針を歴代の経済産業相が認めており、国の方針と理解している。それがあるからこそ、再処理工場(同県六ケ所村)や中間貯蔵施設を受け入れた経緯がある。他地域には当てはめられない」

<青森・むつ市の中間貯蔵施設> 使用済み核燃料を、再び燃料として使えるように再処理するまで一時保管する施設。正式名称はリサイクル燃料備蓄センターで、東京電力と日本原子力発電が共同出資するリサイクル燃料貯蔵が運営。2010年に建設開始し、13年8月に貯蔵容量約3000トンの施設が完成した。原子力規制委員会による新規制基準審査中で、18年後半の操業開始を目指している。関西電力が相乗りする方針を固めたとする今年1月の報道に対し、岩根茂樹関電社長は「方針を決めた事実はない」と否定した。

本紙のインタビューに答える宮下宗一郎・青森県むつ市長

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