柏崎刈羽 新基準「適合」は「ない」づくし

 原子力規制委員会が、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は対策工事を講じれば新規制基準に「適合」すると正式に決定した。東電は福島第一原発事故を起こした当事者。その事故収束もままならない中、もしも柏崎刈羽で新たな事故が起きれば、事故収束の要員確保、新たな賠償とも対応できる力はない。再稼働に不可欠の地元同意を得られる見通しもない。 (小川慎一、宮尾幹成)

収束要員に余裕「ない」 賠償の余力「ない」 地元の理解「ない」

 福島第一原発では、いまだ事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況はよく分かっていない。
廃炉作業は世界が未経験の難作業となるのは必至。担い手である技術者や作業員は不可欠の存在。もし柏崎刈羽で事故が起きれば、ただでさえ限られた担い手の確保はさらに困難となる。
 資金面からみても、東電の原発運転資格には疑問がある。福島事故で巨額の負債を抱え、東電は実質的には破綻している。新たに柏崎刈羽で事故が起きれば、新たな負担に耐えられる余力は到底ない。原発事故の保険は1200億円あるが、現実の事故被害は兆円単位。福島事故は21兆5000億円(政府試算)にのぼる。
 再稼働には、地元の同意が必要だが、そんな状況にはない。東電は2014年11月に原子力部門のトップだった姉川尚史(たかふみ)常務(当時)が国会で、「(柏崎刈羽の)30キロ圏内の自治体の理解がなければ、再稼働の条件が十分でない」と明言した。
 本紙は30キロ圏の9市町村に取材。どの自治体も、新潟県が独自に進めている①事故原因②健康被害③避難-の三つの検証を見守ると答えた。県の検証はまだ2、3年かかる見通し。規制委が新基準「適合」を正式決定した後も、新潟県の米山隆一知事は「検証が終わらない限り、再稼働の議論はしない」と明言している。


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