見逃された3つの兆候 タンクの汚染水漏れ

 東京電力福島第一原発のタンクで、またも大量の処理水漏れ事故が起きた。漏れた水約百トンには、一リットルあたり二億四〇〇〇万ベクレルもの超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれていた。「なぜ送られてくるはずの水がこない?」などと、気づくチャンスは少なくとも三回あったが、東電はいずれも見過ごした。甘い危機管理により、ただでさえ疲弊する現場の作業員たちは、汚染土壌の除去など余計な作業に追われる結果になった。 (岸本拓也)

確認さえしていれば防げた

 今回漏れた水は、本来は別のタンク群に送られるはずだった。いつになっても受け側のタンクの水位が上がってこないことに疑問を感じていれば、漏れは最小限に抑えられた。
 そもそも、事故が起きたタンクは既にほぼ満水状態で、通常はタンクの大きな手動弁を閉め、これ以上は処理水が入らない状態になっているはず。しかし、東電はなぜか弁のチェックをしていなかった。
 また、水漏れが発見される約九時間半前には、水位異常を知らせる警報が鳴っていた。実物のタンクで満水を確認してさえいれば、送水を停止し、事故は防げた。
 しかし、東電は計器の故障と安易に判断していた。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「直接見るという思いに至らなかった」と話した。
 東電は今後、汚染土壌を掘り起こして取り除く予定だが、汚染された敷地は約八百七十平方メートルに上り、現場には負担がさらに加わる。

漏れたタンク(東電提供)

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