ふくしま作業員日誌 43歳男性 地元の漁師と交流 

 福島第一原発にいた時は、週末によくいわき市内の立ち飲みそば屋に通った。昼から焼酎や日本酒が飲めるけど、食事メニューはそばと定食のみ。地元の漁師さんたちがたむろしていて、顔を出すと「俺の持ってきたやつ出してくれ」と店の人に言って、朝、試験操業で捕った魚などを振る舞ってくれた。
 カレイや赤貝の刺し身、シラウオ、イクラのしょうゆ漬け…。タコの刺し身はうまかったなぁ。関東から働きに来ていると話したら「住む所あるし、仕事も紹介するよ」と言われて少し心が揺れた。漁師さんたちは毎日店に来ていて、いろいろ話してくれた。ただでさえなまりがあるので、酔うと、何を言ってるのか分からなくなる時もあるけど。
 東日本大震災の時は、揺れを感じたすぐ後に、船を沖に向けて出したという。津波を沖でやり過ごす間、港の方を見ながら、無事帰れるのか不安だったそうだ。震災後も船を出し、津波で亡くなった人たちの遺体を集めたことも語ってくれた。体の一部しかなかったり、靴だけだったり…。ひどい状態だったけど、二、三日でその状態に慣れてしまったとも話していた。
 地元の人たちと付き合いができると、仕事のやる気が増す。一日も早く福島第一を廃炉にしなくてはと思う。一方で、地元の若い兄ちゃんたちが「他に仕事がないから原発で働くしかない」と話しているのを聞くと、結局、原発に依存しなくてはならないのかと複雑な気持ちになる。(聞き手・片山夏子)

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