飯舘村で暮らす伊藤さんの被ばく記録

年間被ばく線量は2.4ミリシーベルト

 東京電力福島第一原発事故の避難指示が大部分で解除された福島県飯舘(いいたて)村で暮らす伊藤延由(のぶよし)さん(73)は毎日、胸ポケットに線量計を入れ、主な行動とともに記録し続けている。被ばくを考える上で貴重なデータで、取材班は昨年6月~今年5月の1年分の被ばく記録をまとめた。
 伊藤さんは事故の1年前から、村内にある農業研修施設(民間)の管理人を務める。生活の中心は村内だが、新潟市にある自宅との行き来も多い。
 1日の大半(16時間以上)を村内で過ごした日、それ以外の日に色分けすると、被ばく線量の違いは明確。新潟にいた日は1マイクロシーベルト強なのに対し、村で屋外作業をした日などは8マイクロシーベルトを超えることが多い。
 村内中心パターンの年間被ばく線量を平均値から推計すると、一般人の年間限度値(1ミリシーベルト)の2.4倍となった。
 伊藤さんが寝泊まりするコテージ内外の線量を調べると、リビングや寝室でも毎時0.3マイクロシーベルトあった。裏山から強く影響を受けているとみられ、裏山は除染済みの部分でも同1マイクロシーベルト近くあった。伊藤さんは「これが現実だ」と話した。 (小川慎一、山川剛史)

後記

 先週の線量マップに続き、今週は被ばくの現実を追いました。
 ご協力いただいた伊藤延由さんは日々、積算線量計を胸ポケットに入れ、主な行動パターンとともに、その日の被ばく線量を記録し続けています(ツイッターで日々公表)。常時、線量計を持ち歩いている--この点が極めて重要です。
 行政が住民に配布した線量計のデータを基に、「被ばく線量は過大評価されている」と断じる学説もありますが、正反対で、「過少評価」の恐れが大です。なぜなら線量計をリビングやタンスにしまい込んだ状態のデータが多く実態とかけ離れているからです。
 その点、伊藤さんのデータは、信頼度が高く、村「内」中心の日と村「外」中心の日を比べることもできる貴重な記録です。
 紙面では、直近の5月のデータを全部載せました。
 ①村内中心の日(ピンク系の背景) ②それ以外の日(無地)に分けましたが、まるで値が違うことがよく分かります。
 伊藤さんが管理するコテージの室内外各所の線量を調べ、コテージの写真に数値を載せました。室内でも毎時0.3マイクロシーベルトあり、裏山(毎時1マイクロシーベルト前後)の影響を強く受けているのは間違いありません。
 厳しい現実です。

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