高浜30㌔圏 一時避難所使えぬ恐れ 半数が土砂警戒か津波想定域

 十七日に4号機が再稼働した関西電力高浜原発(福井県高浜町)。半径三十㌔圏内で、原発事故の際に一時避難する放射線防護対策施設に定められている福井、京都両府県八市町の計二十七カ所のうち、約半数の十四カ所は土砂災害警戒区域か津波浸水想定区域にあることが、両府県などへの取材で分かった。地震で原発事故と土砂災害や津波が重なった場合、使えない恐れがあり、避難態勢の脆弱(ぜいじゃく)さがあらためて浮かび上がった。 (平野誠也、中崎裕)

急斜面が迫る旧音海小中学校。窓が割れれば放射線防護対策施設として機能しない恐れがある

「避難者が2次被害に巻き込まれかねない」

 施設は原発事故による放射線被害を防ぐため、すぐに避難できない病気の高齢者や障害者らが一時的に避難する。学校や病院などに放射性物質を除去するフィルターを取り付けたり、出入り口の気密性を高めたりしている。東京電力福島第一原発事故を受け、内閣府が二〇一二年度から整備費を全額補助し、全国の原発三十㌔圏内で整備が進んでいる。
 高浜原発の三十㌔圏でみると、福井県では高浜、おおい、若狭の三町の小学校や交流施設など五カ所が土砂災害警戒区域にある。うち高浜町の旧音海(おとみ)小中学校など三カ所は、周囲に崖や急斜面の山林などがあり、土砂災害で建物が壊れる恐れがある「特別警戒区域」に立つ。高浜、若狭両町と小浜市の三カ所は津波浸水想定区域に位置し、うち岬小学校(若狭町)は土砂災害警戒区域にも含まれる。
 内閣府の補助金交付要綱によると、対象となる施設は鉄筋コンクリートなど耐震性が高く放射線を遮蔽(しゃへい)できる構造であることなどが条件だが、土砂災害警戒区域などを外すよう義務付けられていない。
 災害の危機管理に詳しい広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)は「原発の過酷事故は地震が原因で起きると想定すべきだ。土砂災害や津波も同時に起きる可能性は高く、防護施設に避難した人が(余震などで)二次被害に巻き込まれかねない」と指摘。早急な解決策は見当たらず「一番の対策は原発を再稼働しないことだ」と強調した。

高浜原発。中央が再稼働した4号機。左は3号機(17日、本社ヘリ「あさづる」から)

関連記事