玄海再稼働 佐賀県知事が同意 30キロ圏では反対4市に拡大

周辺8市町の半数が再稼働「反対」を表明している

畜産や漁業への影響懸念

 玄海原発30㌔圏内の8市町のうち、再稼働に反対なのは、今年1月時点では佐賀県伊万里(いまり)市と長崎県壱岐(いき)市の2市だったが、今月に入り長崎県松浦、平戸両市が加わり4市となった。
 松浦市は再稼働への賛否を明言せず、平戸市は容認していた。しかし、両市とも住民の強い反対意見を踏まえ、反対に転じた。
 平戸市内で三月に開かれた説明会では、住民から再稼働を疑問視する声が相次いだ。市内の自治会で区長を務める長嶋正彦さん(74)は「市内では畜産家が多く、屋内退避しろと言うが、餌やりはどうするのか。国の役人は、住民の生活を全く考えてない」と憤る。
 同市はアゴ(トビウオ)やイカなどの漁業が盛ん。原発30㌔圏にも漁場があり、海が放射能汚染されれば漁業も打撃を受ける。
 約900人が所属する市漁業協同組合の山中兵恵(ひょうえ)組合長は「みんなの努力でアゴが高く売れるようになり、後継者も出てきた。原発事故が起きれば、すべてがパーになってしまう」と危機感を募らせた。
 今月10日に反対を表明した平戸市の黒田成彦市長は、本紙の取材に、避難計画の実効性が低いことを挙げた。「避難用の大型船が漁港に接岸できるのか。避難はいつまで続くのか。屋内退避を続ける物資はどうするのか。再稼働が近づいているのに、放置されたままだ」と話した。 (荒井六貴)

地元同意終わったのは全国4例目

 佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は24日、県庁で記者会見し、九州電力玄海原発3、4号機(同県玄海町)の再稼働への同意を表明した。山口知事は「熟慮に熟慮を重ねた結果、現状ではやむを得ないと判断した」と述べた。玄海町も容認済みで再稼働の前提となる地元同意は完了した。残る手続きが順調に済めば、早ければ夏にも再稼働する見通しだ。
 東日本大震災後に強化した新規制基準の下で地元同意が完了するのは、鹿児島県薩摩川内(せんだい)市の九電川内1、2号機、愛媛県伊方町の四国電力伊方3号機、福井県高浜町の関西電力高浜3、4号機に続いて4目となる。
 山口知事は「エネルギー需給の観点から、一定程度は原子力に頼らざるを得ない」と強調。原発を管理する技術を継承することも理由に挙げた。
 佐賀県は国から再稼働要請を受けた1月以降、住民説明会のほか、県内の首長に賛否を聴くなど幅広く意見を聴取。県議会の容認決議で住民理解が得られたと判断した。
 今月に入り、知事が世耕弘成経済産業相や九電の瓜生(うりう)道明社長らと相次いで会った際、国などが責任を明確化したことも決断を後押しした。
 ただ、重大事故の際に避難が必要となる半径30㌔圏に入る自治体では反対意見が根強い。知事は「福島の事故を踏まえ、安全を何よりも大切にして、玄海原発と向き合う」と述べ、反対派にも理解を求めた。
 九電は「知事の判断を大変重く受け止めている。安全対策に不断の努力を重ねるとともに(再稼働に向けた)残りの審査に真摯(しんし)に取り組む」とのコメントを発表した。

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