福島第一排気筒進む劣化 支柱に新たな破断 本紙指摘で判明

本紙が見つけた新たな破断(V字の付け根の右側)
福島第一原発全景

2019年ごろ上半分を解体というが…

 東京電力福島第一原発が抱えるリスクの一つ、1、2号機の排気筒(高さ約120㍍)について、本紙が2月、同原発内で撮影した写真を詳細に分析したところ、地上から45㍍付近の支柱に新たな破断が一カ所見つかった。本紙の通報を受け、東電は6日、破断を確認したと発表した。
 東電はこれまで、年一回望遠レンズで排気筒を撮影して分析。66㍍付近に4カ所8本の支柱が破断したり損傷したりしていると原子力規制委員会や福島県に報告していた。
 本紙は2月13日に同原発内を取材した際、排気筒も入念に撮影。その写真を細かくチェックし、45㍍付近で「V」字形に取り付けられた支柱の一本の接合部が完全に切れているのを見つけた。同十五日の本社ヘリで海側から撮影した写真でも横に黒い筋が入っていた。
 排気筒は事故直後、1号機の格納容器が壊れるのを防ぐため、汚染蒸気を逃がすベント(排気)に使われた。東電は、破断などは1号機の水素爆発や、余震の影響だとしている。再び大地震に襲われれば、倒壊する可能性があり、地上55㍍から上半分を2019年ごろを目標に、解体する方針。
 東電は「線量が高く近づけない場所があったため、確認できなかった。(本紙の)指摘であらためて調べたところ、見つかった。地震の揺れなどで排気筒が倒壊する可能性が高まったとは言えない」と説明した。 (山川剛史、荒井六貴)

東京電力が示した資料

後記; なぜ東電は新たな破断に気づけなかったのか?

 2月、現場公開の機会をとらえ、本紙の平野カメラマンには「貴重なチャンスだから、とにかく排気筒やタンク解体の様子などを撮れるだけ撮ってくれ」と依頼しました。期待通り、さまざまな角度から福島第一の様子を写真に収めてくれました。
 東電が報告してきた4カ所8本の支柱の破断や変形はばっちり写っていました。高さ別に撮影してもらったカットを拡大し、他にも破断を探しましたが見つかりませんでした。ところが最近、「もう一度、排気筒が写っているカットを全部再点検しよう」と思い立ち、下の写真(「破断を見つけた元の写真」)をふと見ると、V字の付け根に何やら黒い筋を見つけました。拡大してみると、筋の向こうは空が見えています。
 地上撮影の2日後、本社ヘリ「まなづる」で空撮もしており、同じ場所をチェックすると、ブレて明りょうではありませんが、黒い筋が確認できました。4月4日、東電にも情報を提供し、6日に東電が現場を確認。そして「新たな破断あり」が確定しました。

 東電はこれまで4回、望遠レンズによる写真調査を実施しています。
 しかし、直近の報告書を見ると、当初発見した破断を再確認することに注力している様子。
 「ひょっとしたら、他にもあるのでは?」という”疑う心”にやや欠けていたように思います。
 東電は「低い部分は、タービン建屋がじゃまになり、点検できなかった」としていますが、本紙が破断を見つけた写真は、山側の高台から撮影したもの。お決まりの視察コースです。

 問題の支柱は、排気筒のたわみやねじれを抑える斜め材です。家屋の筋交いのようなものです。重要な部材が、排気筒の中央付近は4面とも外れていて、煙突本体と4本の柱だけで立っている形です。
 今後、1、2号機では使用済み核燃料取り出しに向けた準備作業が進みます。その作業の安全を確保するためにも、3年先といわず、できるだけ早く排気筒を解体したほうがよいと思います。(山川剛史)

破断を見つけた元の写真

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