東日本大震災6年/ 苦しみの根源ここに

3月11日付 東京新聞1面トップ 2号機原子炉内の推定図
3月11日付 東京新聞 T発 溶融した核燃料(デブリ)で溶けた?鉄製の足場の穴

圧力容器直下で見つかった足場の穴。デブリの熱で溶けた可能性がある(東京電力提供)

廃炉へ底知れない闇

 荒れた画面に浮かんだ黒い穴を見たとき、胸がぎりっと締め付けられた。「水をっ」「入らない」「ベントはどうした!」。メルトダウン(炉心溶融)の激しさと緊張の時間が一気によみがえった。
 今年一月、東京電力福島第一原発2号機の原子炉格納容器に挿入されたカメラが、炉心直下にある鉄製の足場に開いた穴をとらえた。およそ一㍍四方にわたって足場が落ちくぼみ、周囲には溶けた核燃料のようなものがこびり付く。地震と津波で冷却機能を失い炉心が溶けた。灼熱(しゃくねつ)の核燃料が落ちた足場に穴が開いても不思議はない。事故から六年、ようやくその現実にたどりついた。
 避難した人たちの苦悩は続き、汚染水はたまり続ける。農業も漁業も元に戻らない。全ての苦しみの根源はここにあるとあらためて思う。画面の乱れから測った放射線量は最大毎時六五〇シーベルトと推定される。四十秒も浴びれば死ぬ値だ。足場から格納容器の底まで約三㍍。だが底知れぬ深さに見える。二月、穴の周囲を調べるためサソリ型ロボットが送り込まれた。何年もかけて作った新鋭機が足場に着く前に動けなくなった。穴の上や下がどうなっているのか今も分からない。
 政府は今夏をめどに、1~3号機の溶けた核燃料の回収方針を決める予定だが「想像以上に複雑。何が言えるかまったく分からない」と関係者は漏らす。四十年とも想定される廃炉の道のり。その険しさを思うとき、私たちが未来に回そうとするツケの大きさを痛感する。
 東電は穴の確認を「大きな一歩」とする。そうあってほしいと願う。過ちは繰り返せない。新たな一歩を踏み出すとき、深い穴の前で立ち尽くしたことを忘れてはいけない。 (永井理)

福島第一原発 右から1、2、3、4号機(2月15日、本社ヘリ「まなづる」から)

毎時650シーベルトとは

 生活空間の放射線量を表すには、通常「マイクロシーベルト」が使われる。年間の被ばく線量では、その千倍の「ミリシーベルト」を使う。
 東京電力福島第一原発2号機の原子炉直下で計測された線量は「シーベルト」が単位。生活空間で使う単位の、実に百万倍だ。
 毎時六五〇シーベルトという線量は驚異的な数値で、放射線対策を施したカメラも二時間で壊れた。だが、東電の廃炉担当者は「溶融核燃料(デブリ)表面の線量は数万シーベルトあるとみている」と言う。デブリに近づくほど、もっと厳しい線量になるのは間違いない。
 福島事故で放出された放射性物質の半分ほどを、2号機が放出したとされる。2号機の状況が分かる意義は大きいが、1、3号機の炉内にも、数多くの核燃料が溶け落ちている。炉の壊れ方やデブリの広がり具合も異なり、廃炉計画は三基別々に練る必要がある。

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