東京電力福島第一原発では、2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の調査が一歩進んだものの詳細は不明だ。事故発生から六年たっても、日々大量に発生する汚染水に足を取られ、苦しい闘いが続く。「廃炉まで三、四十年」はあくまで目標。道筋は見えない。
「ようやく登山口に立ったぐらい。山の高さも分からない」
東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏・最高責任者は、廃炉の道筋を山登りにたとえ、現在の立ち位置を説明した。
2号機では一月、格納容器内に、長いパイプの先に取り付けたカメラを入れ、熱で溶けたような鉄製の足場の様子が撮影された。二月には、毎時六五〇シーベルトとかつてない高さの放射線量も計測。デブリ調査が進展する期待感が高まった。
しかし、続く本格調査に投入されたロボットはほとんど機能せず、今後の計画づくりにつながる情報は得られなかった。
一方、汚染水の悩みは消えず、建屋地下とタンクにある水の量は百万㌧を突破している。東京ドームの容量(百二十四万立方㍍)に匹敵する。
汚染水を増やす原因である地下水が建屋に流れ込まないよう、対策は講じられてきた。多額の税金を投入した凍土遮水壁も、効果は確認できない。
今後も汚染水対策に追われながら、デブリの取り出しを模索することになる。