福島5市町村で本紙が調査 農地 土中に汚染残留

 東京電力福島第一原発がまき散らした放射性物質の量は、三十年前の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の六分の一とも十分の一ともいわれる。福島の人たちの重要な生活基盤となる農地には、どの程度の影響が残っているのか。本紙は独自に避難指示区域や周辺で、農地の土やそこで育った野菜の状況を調べた。(山川剛史、大野孝志)

田畑の作物は低レベル 自生の山菜は高濃度  

 調査は川内村、楢葉町、富岡町、南相馬市、飯舘村の住民の協力を得て、地表から深さ三十センチまで農地などの土を採取。五センチ刻みで放射性セシウムの分布状況を調べるとともに、そこで育った野菜や山菜の濃度を調べた。
 その結果、川内村と南相馬市(両地点は避難指示区域外)の土の汚染は比較的低く、作物も食品基準(一キログラム当たり同一〇〇ベクレル)の百分の一未満がほとんどで、高くてもホウレンソウの約二ベクレル(基準の五十分の一)だった。
 昨年九月に避難指示が解除された楢葉町では、対策を取ったといっても、汚染が集中する表土を下の土と混ぜて薄める方式だったため、川内村などより一段高い汚染が残っていた。
 作物への影響が懸念されたが、測ってみるとハクサイやダイコン、ネギとも一ベクレル未満だった。昨年に帰還し作付けも再開した柴田富夫さん(75)は「自信はあったけど、安心した」。
 農地にはもともと、肥料としてカリウムがまかれ、事故後は成長期などに追加でまかれる。植物にとっては、セシウムとカリウムは似た物質。大量にあるカリウムを優先的に吸い上げる。さらにセシウムを吸着する鉱物もまいているため、地中にセシウムが存在していても、植物が吸い上げにくくなっている。
 チェルノブイリでも使われた対策が少なくとも、この畑では有効に機能しているといえる。
 ただ、農地がセシウム汚染されていることに変わりはなく、表土を除去したばかりの富岡町の畑では、自生のカラシナから食品基準すれすれの九〇ベクレルを検出。適切に対策が続けられていないと、危うい状況も見て取れた。
 本紙は昨春、飯舘村で山菜の調査をしたが、ウドやフキノトウは食品基準を下回ることが多いものの、ワラビなどは食用にならない汚染度だった。天ぷらの材料にされることが多いコシアブラは最大で二七万ベクレルに達していた。
 チェルノブイリ周辺では内戦の余波で生活が苦しくなっていることもあり、人々が野生のキノコや川魚を食べて内部被ばくにつながっていることが分かっている。福島でも農地管理を怠ったり、帰還して安易に山菜に手を出したりすると、同じような問題が起きる可能性はある。

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