過酷なタンク内清掃 新除染装置の不具合見逃しのツケは現場に

 東京電力福島第一原発の新型除染装置「ALPS(アルプス)」で不具合が起きているのに東電が運転を続けた結果、多数のタンクを高濃度の放射性物質で汚した。東電は「タンクの除染を始めた」というが、後始末をさせられるのは作業員。除染に当たった作業員らが語る現場は、過酷だった。 (片山夏子)

かっぱ二重 全身汗だく/薄暗い中 人海戦術 

 除染されたのは、ALPSで処理した水を一時的にためるため、装置脇にあるタンク一基。作業員らはタンク下部の側面に直径八十センチほどの点検孔を開け、高さ、直径ともに約十メートルあるタンクの中に入った。天板に二カ所ある点検孔を開け、そこから差し込むわずかな光と持ち込んだ発光ダイオード(LED)ライトの光だけが頼りだ。
 すでに上部から高圧の水を吹きつけて洗浄してあるとはいえ、つい数日前まで一リットル当たり一〇〇〇万ベクレルと、放出基準の数十万倍もある放射性ストロンチウムなどを含む水が入っていた。ベータ線を発する物質で、被ばくの心配は少ないが、直接触れたり体内に取り込むと内部被ばくにつながる。
 防護服の上にかっぱを二枚重ねし、かっぱのフードを全面マスクの上からテープで密封。手はゴム手袋など四枚重ね。足元は長靴と完全防備だ。
 放射線管理の担当者からは「高圧の水で洗浄するとき跳ね上がった水しぶきをかぶらないように、注意に注意を重ねてほしい」と注意が飛んだ。
 薄暗い中、高圧洗浄したりデッキブラシでこすったり、洗浄水を吸引したり、吸引しきれない水は布で拭き取る。五、六人の作業員がチームとなって約二十分ごとに交代する人海戦術で数日かけ作業を進めた。
 完全防備のため、あっという間に全身汗だくに。顔から汗が滴り、マスクに水滴がつく。
 作業員の一人は「晴れた日は光が入って作業がしやすいが、暗くて暑くてまいった。使った機材も除染をしなくてはならない。一基でこれだけ大変。汚染された残りのタンクはどうするのか…」と話した。


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