新除染装置でも事態軽視 不具合見逃し1日運転 東電 福島第一原発 タンク21基 汚染される

 東京電力福島第一原発に大量貯蔵されている処理水の危険性を大幅低減する新型除染装置「ALPS(アルプス)」の性能が急低下した問題で、東電は装置を止めるほぼ一日前に異常を把握していたのに、装置の不具合を疑わず運転し続けていたことが分かった。その結果、浄化された水をためるはずのタンクを二十一基も汚染させた。事態を過小評価する東電の体質があらためて浮かんだ。 (小倉貞俊)

ALPSはトラブル続き 東電 浄化確認せず移送

 既存の除染装置では、日々大量に発生する高濃度汚染水から放射性セシウムしか除去できない。ALPSはストロンチウムなど六十二種類の放射性物質を取り除けるため、作業員の被ばくを減らし、タンクから水漏れしても汚染は最小限に抑える切り札とされる。
 東電によると、十七日昼ごろ、ALPSで処理した水に含まれる放射性物質を分析しようと、採取した水を福島第一内の施設に持ち込もうとしたところ、入り口のスクリーニング検査で三系統のうち一つが強い放射線を発していることが判明した。
 ALPSが正常に動いていれば、処理水一リットル当たり二億四〇〇〇万ベクレルのストロンチウムなどは数百ベクレル以下に低減されて線量もほとんどないため、この時点で装置の異常を疑うべきだった。しかし、東電は「水に誤って放射性物質が混入したのでは」と採水ミスと判断。装置を止めて確認することもせず、水を別の施設に持ち込み分析結果を待つだけだった。
 翌十八日午前九時ごろ、一〇〇〇万ベクレル余りとほとんど浄化できていないことが確認され、午後二時に東電はようやく装置を停止させた。この間、処理はしたのに汚れたままの水が一万五千トンも発生。本来は装置に併設されたタンクに一時貯蔵し、きちんと浄化できていることを確認してから処理水タンクに移すはずなのに、東電はチェックせずに移送。その結果、ほぼトリチウムだけの水をためるはずのタンク二十一基が汚染され、配管やタンクの除染など余計な作業を増やすことになった。
 東電は二月にも、タンクの満水警報が出たのに、水位計の故障と安易に判断、百トンを超える高濃度処理水漏れ事故を起こした。
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 東電は二十四日、問題のない残り二系統の運転を再開させたが、処理した水を一時貯蔵するタンクの側面にある点検孔から一秒に一滴程度の水漏れが見つかった。タンクは除染が終わったばかりだった。漏れた水は約五百ミリリットル程度でビニール袋で受けているというが、タンクのボルトを閉めても漏れが止まらないため東電は再び運転を停止した。

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