川内原発の周辺自治体 複合災害 想定せず 住民避難「台風まで対処無理」

 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の周辺自治体が、原発の重大事故と、台風などの自然災害とが同時に起きる「複合災害」への具体的な対策を練っていないことが分かった。十日には大型の台風8号が上陸する見込み。地震・津波被害と原発事故が同時に起き、対応が後手に回った東京電力福島第一原発事故の教訓が生かされていない。 (小倉貞俊、大野孝志)

九州は台風の通り道 なのに原発と台風の”複合災害”検討しなくていいの?

 九州は台風が頻繁に通るなど自然の猛威にさらされてきた。過去の気象データを見直しても、台風の襲来で車の運転ができないほどの豪雨や、外に出るのが危険なほどの強風がたびたび発生。こうした状況下で、川内原発で重大事故が起きれば、ただでさえ大混乱が必至の周辺住民の避難はさらに厳しくなる。
 ところが、原発三十キロ圏内の九市町に取材したところ、県の原発に関する地域防災計画から複合災害の項目を抜き書きしただけで、実質的な検討はされていなかった。
 自然災害で要員を割く必要が出た場合、どの部署を対応させるか、足りなくなった場合はどう配置し直すかなどは未検討だった。住民の避難ルートも、複数を設定している自治体はあったが、道路やトンネルや橋など、具体的にどの地点が寸断される危険性が高いかといったデータは集めておらず、不通にならないことを前提にしていた。
 避難途中、豪雨に見舞われ、車での避難を続けるのが困難になる場合もありうるが、無理をしてでも避難するのか、屋内退避に切り替えるのか、その判断をどう住民に伝えるのか検討もされていなかった。
 各担当者は「本来は複合災害を想定して計画を練るのが望ましいが、そこまで手が回らない」と口をそろえた。
 川内原発の避難計画をめぐっては、避難所が放射能汚染で使えなくなった際の代わりの避難所確保が難航していることも判明している。今秋にも再稼働の可能性が出ている中、住民の安全を確保する面で解決すべき問題は山積している。

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