川内1号機再稼働 「原発ゼロ」2年で幕 住民避難 検証足りず

 九州電力は十一日午前、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働させた。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を受け、原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく原発の稼働は初めて。十四日にタービンと接続して発電・送電を始め、徐々に出力を上げて問題がなければ九月上旬にも営業運転に移る。

(解説) 事故時の責任 不明のまま

 事故対策が多少強化されたとはいえ、住民避難はうまくいくのか検証されず、再び重大事故が起きれば責任はだれが負うのかもあいまいなまま、九州電力川内原発が再稼働した。
 政府は「世界で最も厳しい規制基準」で審査されたと強調するが、現実には国際原子力機関(IAEA)の基準に達しているかどうか疑わしい。
 原子力規制委員会は「基準を満たせば事故は一定のレベル内に収まる」と、福島のような事態は二度と起きないかのような説明を繰り返す。しかし、その根拠は明確にされていない。懸念される火山の巨大噴火にしても、専門家の意見を聴かないまま「今後数十年の間にはないだろう」と判断。核燃料の緊急搬出策も決めずに「よし」とした。
 最終手段である住民の避難計画は形にはなったが、実効性はチェックされていない。事故時の責任の所在を明確にする仕組みや兆円単位に上る損害賠償の備えについても、国会決議で整備を約束しておきながら、何ら具体化していない。
 関西電力大飯原発(福井県)が定期検査入りした二〇一三年九月以降、原発に依存しなくても、電力をまかなっていけると、日本が自ら証明した。猛暑の今年も、全国的に安定供給が実現されている。原発は発電コストが「安い」と宣伝されてきたが、新規制基準への対応、除染を含めた事故対策、使用済み核燃料の処分、核燃料サイクル-これら原発に関連する費用を考慮すれば決して安くない。
 直近の世論調査では、六割近くの人が、審査を経た原発であっても、再稼働に「反対」と答えている。無理を重ねてまで原発を維持する必要が本当にあるのか。その疑問には何も答えないままの再稼働となった。(山川剛史)

(メモ) 川内原発

 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の原発。1号機が1984年、2号機が85年に営業運転を開始した。2基とも加圧水型軽水炉で、出力はともに89万キロワット。基本的な設備や機器が共通する「ツインプラント」として設計されている。2014年9月、原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に初めて適合した原発となった。避難計画が必要な原発の半径30キロ圏には鹿児島県の9市町が含まれ、約21万人が暮らす。国内最大級の3号機の増設計画もあったが手続きは停止している。

関連記事