柏崎刈羽 再稼働申請へ 新潟知事 慎重姿勢 東電、見切り発車

 東京電力は二日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請することを決めた。広瀬直己社長が新潟県の泉田裕彦知事ら地元自治体の首長に説明した上で、新しい規制基準が施行される八日以降、できるだけ早く申請する。申請は二日、会議は開かず書面を回覧する「持ち回り」の取締役会で全会一致で決定した。

2014年3月期で黒字化狙う東電

 東電は原発の運転再開で火力発電の燃料費を減らし再建計画で打ち出した二〇一四年三月期の経常黒字化を目指したい考え。だが、再稼働には審査の合格と地元自治体の同意が必要で、泉田知事は福島第一原発の事故原因が究明できていないことなどを理由に慎重な姿勢を示している。
 東京都内の本店で二日、記者会見した広瀬社長は「知事が反対しても審査の申請をするのか」との問いに「よく説明し理解してもらいたい」と述べるにとどめ、知事の了承がなくても申請に踏み切る可能性に含みを残した。
 東電は再建計画では柏崎刈羽原発を今年四月から再稼働させる方針を示していたが、会見で広瀬社長は審査の申請や再稼働の目標時期は明示しなかった。原発の再稼働が遅れた場合の料金値上げについては「できるだけ踏み込みたくない」と従来の方針を繰り返す一方、あらためて「(原発が)全然動かなければ今の料金体系は無理」とも主張した。
 柏崎刈羽原発1~7号機のうち6、7号機の申請を優先した理由に関しては「原子炉の型が同じで準備がしやすい」と説明。その上で準備が整えば、1号機の審査も申請する考えを示した。
 「核のごみ」の行き場が決まらないなど、原発を取り巻く環境整備は進んでいないが、電力各社は火力発電の燃料費の負担を軽くするため原発の稼働を急いでいる。新しい規制基準の施行直後には北海道、関西、四国、九州の四電力が計六原発の審査を申請する構えを示している。

他電力に遅れまいとする東電 事故当事者に原発を動かす資格はあるのか?

 東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働申請することを決めた。だが、東電は福島第一原発事故を起こした当事者で、事故は収束にはほど遠く、賠償も遅れがち。他の電力会社に遅れまいと、新潟県などの理解も得ないまま一方的に決めた。そんな東電に、果たして原発を動かす資格があるのか。あらためて疑問が湧く。
 東電が、柏崎刈羽にいち早く事故時の作業拠点を建設し、巨費を投じ防潮堤やフィルター付きベント(排気)設備の整備を進めてきたのは事実だ。
 しかし、ベント設備は未完成で、建屋直下にある地層のずれが活断層ではないか、との疑念は拭い去れていない。今後、原子力規制委員会が活断層と判断する可能性も残る。
 これらの問題が解消されてから、再稼働を申請するのが筋だが、東電は中途半端な段階でかじを切った。
 事故時に大きな被害に遭う原発周辺の自治体では、事故時の避難計画などがまだ整っていない。東電からまともな説明もない中で、いきなりの申請方針の表明だった。再稼働には否定的な態度を取ってきた新潟県の泉田裕彦知事は「これ以上の地元軽視はない」とさらに態度を硬化させた。
 東電自らが招いた事態ともいえるが、二日に記者会見した広瀬直己社長は「十分説明したい」を連発するばかりだった。福島事故の避難者は現在も十五万人にのぼる。その反発については、広瀬社長は「そういう気持ちになるのは理解できる」と言いつつ、電力の安定供給を建前に再稼働への期待感をにじませた。(桐山純平)

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