鹿児島地裁の「川内」事実認定に問題あり 本紙検証 避難計画・噴火リスク…却下した理由に事実誤認

 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働差し止めを却下した鹿児島地裁の決定内容を、本紙が検証したところ、主な論点とされた避難計画や巨大噴火リスクに関する事実認定に大きな問題のあることが浮かび上がった。(小倉貞俊、荒井六貴)

地裁の事実認定 ここが変

地裁「避難先調整システムを導入」→ただの連絡先リスト

 先月二十二日の地裁決定は、原発の新規制基準に不合理な点はなく、避難計画の具体化や物資の備蓄も進み、多数の専門家が巨大噴火の可能性は小さいとしているなどとして、住民らの訴えを退けた。
 しかし、地裁決定には、いくつもの疑問点がある。
 三十キロ圏の住民は、地区ごとに避難先が指定されているが、風向きによっては放射能汚染で使えなくなる可能性がある。地裁は、県が調整システムを整備し、迅速な避難先の変更に備えていると認定した。
 県に取材すると、風向きの入力で避難先施設の候補がリスト化される程度のもの。必要な人数を収容できるかや、汚染状況は一件一件、現地とやりとりする必要がある。入院患者らの避難先についても、病院の空きベッド数データがないため地道な確認が必要だ。
 半年前、避難者受け入れに向けた計画ができていなかった鹿児島県霧島市など十二市町に取材すると、指定先の学校や公民館などへの説明や、避難所の運営方法などの協議はいずれもされていなかった。
 一方、巨大噴火への備えについて地裁は、九電の火山監視の手法や能力に「専門家から異論はなかった」と問題ないと評価した。しかし、専門家とされた当の東大地震研究所の中田節也教授らからは「曲解された」「事実誤認だ」との声が上がっている。
 住民側は近く福岡高裁宮崎支部に抗告する予定だ。

川内原発

関連記事