原発オフサイトセンターめぐる不透明発注/一般電気工事も電力系列に発注 JNESが随意契約で

 原発事故の対策拠点となるオフサイトセンター(OFC)の支援業務をめぐり、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が、各地で電力会社の系列会社に不透明な発注をしていた問題で、ごく一般的な電気工事も、系列会社に発注していたことが分かった。

津波で壊滅した女川原発のオフサイトセンター。その代替施設で不透明発注があった

問題発注は、女川、福島OFCの設備工事で

 新たに不透明な発注が判明したのは、東日本大震災で被災した女川(宮城県)と福島(福島県)の両暫定OFCの設備工事。
 JNESは長年、各地のOFCの運営支援業務を、原発を保有する電力会社の系列会社に発注する異常な契約を続けてきた。緊急時にすぐ原発へ社員を派遣するとの条件が付いていたが、今回の発注内容はパソコンやファクスといった電子機器向けの電気工事が中心。特殊技術を要しない、一般的なものだった。JNESを所管する原子力規制庁も「電気設備に携わる会社なら、どこにでもできるのでは」としている。
しかし、JNESは「契約の性質または目的が競争を許さないため」として、女川の暫定OFCでは東北電力の子会社・東北発電工業(仙台市)と一千六百八十万円で、福島の暫定OFCは東京電力の関連会社・関電工(東京都)と九百三万円で随意契約を結んだ。
 両社ともOFCの運営支援業務を長年、請け負ってきた会社だ。他業者でもできる仕事を、実態とかけ離れた名目で電力系列会社に発注し続けるJNESの安直な姿勢が、あらためてはっきりした。

無責任体質あらわ ころころ変わる言い訳 「系列会社のみ可能」「時間がなかった」

 またも独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が、オフサイトセンター(OFC)をめぐる業務を電力会社の系列会社に安易に発注していた。随意契約を結ぶ際は相応の理由が必要だが、JNESは公表資料に「競争を許さない」と系列会社しかできない仕事だと強調しておきながら、取材に対しては「時間がなかった」と理由をころころ変えた。(清水祐樹)
 系列会社が受注した業務は、電気工事を手掛ける会社なら可能な一般的な内容で、「不透明」と批判を受けてまで契約を強行する理由は見つからない。
 急ぐ必要があったかという点でも、どの原発も大量の核燃料を抱えているとはいえ、停止しており、慌ててOFCを整える必要性には疑問符が付く。
 急いだ理由をJNESに問うと、担当者は「国や地元に頼まれたから」と主体性のない返答。ところが、所管する原子力規制庁や宮城、福島両県に取材すると「厳密に期限を区切って急がせてはいない」と口をそろえた。
 再度、JNESに国や地元は急がせていないとの取材結果をぶつけると、今度は「入札にかけると公告期間が必要で時間がかかるから」との理屈を持ち出した。
 随意契約とはいえ、複数の業者から見積もりを取り、より良く、より安くを模索するのは当然のこと。JNESの運営費は、電気料金という半ば国民の税金で賄われている。だが、担当者は「一社からしか見積もりは取っていません」。
 早く整備するため、OFCの設備に詳しく機器の仕様や癖を知っている系列会社なら、使う電力量の変化などを調べる時間もかからないので発注した-。担当者は、こう説明を変えた。
 だが、JNESは国からOFCの運営支援を任された組織。機器の癖は熟知していて当然で、業者に注意点を知らせ、「癖を想定して工事をして」と発注すれば済む話だ。
 そう問うと、「そんなデータは持っていない。情報収集に時間がかかるため、やらなかった」との答え。系列会社とそのほかの業者とでどれくらい工期の差が出るかも把握していなかった。
 「専門家集団」を名乗るJNESだが、今回の問題をみる限り、情報もなく、責任感もなく、ただ仕事を従来通りの慣例で丸投げしているだけの組織とのそしりは免れない。

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