原子力規制委職員 経産・文科に2割戻る 「推進官庁と一線」形骸化 発足1年半 例外横行

 原子力を規制する機関としての独立性を保つため、推進側の官庁に職員を異動させない「ノーリターンルール」を定めている原子力規制委員会事務局が、発足してわずか一年半の間に推進側の経済産業、文部科学両省へ二割近い職員を戻していたことが分かった。当初の五年間は例外規定があるが、例外にしてはあまりにも多く、設立時の理念やルールが形骸化しているとの批判を招きかねない。(小倉貞俊)

戻って原発マネー交付担当になった職員も

 ルールができたのは、前身の旧経産省原子力安全・保安院(廃止)が組織上も予算上も推進官庁である経産省の強い影響を受けていたからだった。
 旧保安院は規制機関なのに、原発をめぐるシンポジウムに推進派を動員するやらせに関与したり、原発事故に備える区域の拡大を阻止しようとしたり任務に逆行する数々の問題を起こした。
 こうした問題を踏まえ、規制委設置法の付則で、事務局の全職員は原子力推進の事務を扱う行政組織への配置転換を禁じている。国会の議論で、政府はその組織とは経産、文科両省を指すと明確に答弁している。発足後五年間は「職員の意欲、適性などを考慮して特にやむを得ない事情」がある場合に限り、推進官庁に戻ることも認めているが、あくまで例外としてだ。
 ところが、同事務局が発足した二〇一二年九月十九日から今年二月一日までの間に、経産省出身の三百十五人のうち四十九人、文科省出身の八十人のうち二十一人が出身の省に戻った。合わせて18%が戻った計算になる。
 経産省に戻った職員の中には、原発が立地する地方局で原発関係の交付金手続きに携わる担当に就いたケースもある。同省の担当者は「ルールはあくまでも規制委事務局の取り決めであり、こちらは関係ない」と説明する。文科省の担当者は「戻り先は科学技術や教育などの分野であり、原発推進の部署ではない」とするものの「その後に推進の部署へ異動することも理論上はあり得る」と話す。
 規制委事務局の担当者は「いずれも仕事への意欲や適性を考えての人事だが、個別の説明は控える」とだけ回答。ただ、法律成立の際には衆参両院が「(政府は)五年以内であっても、可能な限りノーリターンルールの趣旨にそった人事をするべきだ」との決議をしており、運用はなし崩し的になりつつある。

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