エネ庁監視事業 本年度は8300万円 多額税金 効果は不明

 東日本大震災や福島第一原発事故で国内が疲弊しているのに、ネット上も含めた原発記事の監視のため、経済産業省資源エネルギー庁が多額の税金を投入し続けていることが本紙の取材で明らかになった。(水越直哉)
 この事業は三年前に始まった。当初は地方紙も含めた新聞記事の監視が主な内容だったが、本年度は一般市民が発するネット情報を中心とし、投入する税金は八千三百万円(予算額)と、例年の数倍になった。
 「原発事故でデマによる風評被害が広がっており、緊急性があったため」。同庁の担当者はこう説明する。だが、旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故と同等のレベル7という深刻な事故が起き、その影響が広がる中で、ネット情報を監視した上で同庁Q&Aコーナーに手を入れたくらいで国民の不安が収まるはずもない。
 被災地の復興資金をどう工面するかが最重要課題だった五月、効果が不明な事業に貴重な第一次補正予算をつぎ込んだ。
 本年度は広告代理店が落札したが、昨年度までの三年間は、電力会社役員や原発に関連する省庁OBらが役員になっている公益法人が順に受注した。
 同庁の担当者は「専門的知識がないとできない」と強調したが、委託先の財団法人社会経済生産性本部(現在は日本生産性本部)の担当者は「専門家ではなく、一般の職員が手分けして見ていた」と打ち明けた。どんな基準で「不適正」な記事をピックアップしたかについては「基準が残っておらず、わからない」と話した。

資源エネルギー庁の予算資料

訂正依頼ゼロ 無駄認める担当者

 「今年はどうしてこの事業が注目されちゃったのかな」。取材すると、資源エネルギー庁職員はけげんそうな表情でこう話した。
 昨年度までは委託先へ事業報告書の提出も求めていない上、メディアへの訂正依頼もゼロだといい、原子力への質疑をまとめたホームページも閉鎖中で見ることができない。その指摘に、担当者は「確かに成果は見えないかもしれない」としぶしぶ無駄遣いを事実上認めた。
 さらに、本年度の事業についてはすでに入札が終わっているが、落札業者などは公表しない。その理由について、担当課は「契約に向けて調整中なので、相手に問い合わせが行くと話が流れてしまうと困る」。有意義な事業なら、その程度のことで業者が契約を辞退するはずはない。

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