巨大噴火ない「だろう」で「よし」 川内原発で規制委 具体策ないまま「適合」判断 九電の噴火予知技術は途上

 火山の巨大噴火は何十年も前に予知でき、危ないと分かれば核燃料を運び出して安全を守ります-。九州電力はこう約束し、川内(せんだい)原発(鹿児島県)は新規制基準を満たすとの判断を原子力規制委員会から引き出した。だが九電、規制委とも根底にあるのは「当面は噴火はないだろう」との推測。約束が守られる保証はない。(山川剛史、小倉貞俊)

根拠なき「安全神話」に逆戻り

 「これから何年動かすか分からないが、せいぜい三十年くらい。その間に噴火は起きないだろうと。ただし監視はしようと。今回はそれで良しとした」。規制委が川内原発の審査結果案を示した十六日、田中俊一委員長は自ら記者向けの説明会を開き、こう話した。科学的な証拠を重んじるはずの規制委トップから、「だろう」との発言が飛び出した。
 火山の巨大噴火を予知するのは非常に難しい。火山噴火予知連絡会をはじめ何人もの専門家が明言している。それにもかかわらず、九電は衛星利用測位システム(GPS)で周辺の地面のずれを監視し、地震などと考え合わせれば予知可能だと主張し、規制委は認めた。
 だが、その九電自身も審査会合では、予知技術は開発途上だと認めていた。
 四月二十三日の会合で、九電の担当者は、巨大噴火につながる場合は膨大なマグマが地中にたまる必要があり、地盤にずれが出るなどの予兆が出てから二十~五十年は噴火はないとの試算を説明。これに対し、島崎邦彦委員長代理が「既にある程度マグマがたまっている可能性もある。ある段階にいることを意識した方がいい」と、巨大噴火まで何十年も猶予があるとは限らないことを指摘した。
 すると九電側は、予知の手法などは「あくまでも現段階での暫定的なもの」とあっさりと認めたのだ。
 九電は、巨大噴火の危険を察知すれば、原発から核燃料を緊急に運び出す約束をしたが、その方法や保管場所など具体策は練っていなかった。核燃料は原発を止めても冷却などが必要で、搬出までには少なくとも二年数カ月かかる。搬出先も事前に確保しておく必要がある。
 巨大噴火は確率は低いかもしれないが、新基準は東京電力福島第一原発事故の苦い教訓が原点にある。たとえ確率が極めて低い災害でも、十二分に備え、備えが破られても、被害を最小限にとどめることを主眼につくられた。火山は直下の活断層などと並び、そこに原発があっていいのかどうかを判断する重要部分だ。そこを「だろう」で判断するなら、再び根拠のない「安全神話」の時代に逆戻りする。

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