核燃サイクル「判断留保」案 結局は時間稼ぎ? 賛成・反対両派に好都合

 原子力委員会の小委員会が八日、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策の見直しについて、現段階では判断しない「留保」も一つの選択肢だと打ち出した。再処理工場が本当に安定的に動くのかなど不確実なことが多く、数年かけて状況を見極める必要があるとの考えからだ。ただ、これまで半年間かけて進めてきた議論は無駄になりかねない。

巨額の事業なのに 何も決まらない無責任

 「単なる先送りではないか、ととられるのが私は怖い」
 同日の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委で、座長の鈴木達治郎原子力委員長代理は、苦い顔でこう答えた。
 小委は、使用済み核燃料を(1)全て再処理(2)全て地中に埋める直接処分(3)両者の併存-の三つのシナリオをつくり、コストを試算した。二〇二〇年までに脱原発を実現し、それまでに出た核燃料を直接処分するのがコスト的には最も安上がりとの結果が出ていた。
 しかし、核燃料サイクルをめぐっては、再処理工場はトラブル続きで未稼働、混合酸化物燃料(MOX燃料)工場も建設中と、再利用の仕組みの完成にはほど遠い状態だ。そんな中では「現時点で政策として決定するのは拙速」(山地憲治委員)などの留保案が、三人の委員から出た。
 鈴木座長は「留保している間に何を見極めるのかが問題」と抵抗を見せたが、実は留保案は原発に賛成、反対どちらの立場の委員にも乗りやすい。
 賛成派にすれば、すぐに核燃料サイクル政策が終わるよりはましだし、原発への逆風が弱まるのを待つ時間稼ぎにもなる。反対派としても、まずはサイクルの動きに歯止めをかけられる。
 政府にとっても、原発再稼働が思うように進まない中、やっかいな核燃料サイクル政策の問題を先送りできるのは好都合だ。
 巨額の資金を要する核燃料サイクルをどうするのか、何も決まらない無責任な状況になる可能性も出てきた。(大村歩)

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