過酷なボルト締め型タンクの解体現場 重装備、底には高濃度の汚泥、無数のボルト…

 東京電力福島第一原発で、汚染水漏れを繰り返してきたボルト締め型タンクの解体が進んでいる。当初、残った汚染水は機械で回収するはずだったが、底は接ぎ目が多くて逆に時間がかかったため、結局、手作業になった。しかも一基当たり千個を超えるボルトを外す必要があり、もともとは超高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む水が入っていた。被ばく防止の重装備を着けての重労働を強いられている。(片山夏子)

ボルト締め型タンクの解体現場

厚手のかっぱは二重、線量計は5つも装着

 ボルト締め型タンクは、鋼板をボルトで連結し止水材を施工する簡易のもの。東電自身が「仮設タンク」と呼んでいた。溶接型より短期間で完成できるため、福島第一で汚染水をためる主力のタンクとして三百十三基が造られた。
 しかし、何度も汚染水漏れを起こし、長期の貯蔵はできないと、溶接型への置き換えを迫られた。解体は五月から本格化し、十二月一日現在、一割弱の二十六基の解体が終わった。
 福島第一では、こちらの区域ではボルト締め型タンクの解体、あちらの区画では溶接型の設置と、混み合った作業が続いている。
 ボルト締め型のタンクは短期間で設置できる半面、汚染水にさらされた後の解体は非常に苦労を伴う。
 まずは作業員の装備。二重の防護服に、二重の厚手のかっぱ上下、ゴムの全身スーツ、全面マスク。線量計も通常の二つに加え、ストロンチウムなどが放つベータ線も測れる計器を手の指、太もも、全面マスク内と計五つ着ける。鉛のスーツを着るような高線量の作業の場合は、さらに増える。
 特に、タンクの底には、高濃度の放射性物質を含むさびや不純物が沈殿し、人間の肌に触れるなどすると、非常に危ない。水を抜きすぎると、放射線を遮へいするものがなくなり、作業員のストロンチウムなどによる被ばくが増えるため、深さ十センチほどの水を残した状態で、作業員がタンク内に入る。
 強力吸引車につないだタンク車からホースを伸ばし、水かきで底の水と汚泥を集めながら、丹念に水を抜いていく。底はぬめりがあって滑る。特定の人に被ばくが集中しないよう、人海戦術で作業する。

厳重に装備しても、体に汚染が付着

 水抜き後に内部を塗装して解体に入るが、底部は汚染がひどく、ゴムマットを何枚も敷いて遮へいする。
 作業後も慎重な対応が求められる。普通にかっぱを脱ぐと、付着した放射性物質に体が触れる恐れがあるため、同僚などにカッターで切ってもらい、触れないようにして脱ぐ。長靴も使い捨てにする。
 それでも放射性物質に触れ、首や胸が汚染したり、作業中に肘や膝の部分が破れて汚染したりする。
 東電の説明では、タンク解体に伴う作業員のストロンチウムなどによる被ばくはなく、放射性セシウムなどによる被ばくは一回の作業当たり最高で〇・一八ミリシーベルトだという。
 だが、解体に携わる作業員は「タンク内の汚染はひどい。数カ月で人が入れ替わる」と話す。別の作業員も「ストロンチウムによる被ばくがないのはあり得ない。体を守るためとはいえ、装備がきつ過ぎる。体が重く、動くだけで重労働」と訴えた。

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