猛暑の今夏電力余裕 東電 使用率95%超す日なし

 今夏、西日本を中心に記録的な猛暑日が続いたが、電力不足は回避できそうだ。本紙が原発のない沖縄を除く電力九社の電力需給を調べたところ、東日本はかなり余力があり、西日本では一部で厳しい日もあったが、大半は問題なかった。この間、動いていたのは関西電力大飯原発3、4号機の二基のみ。ほかの電力会社は原発なしで猛暑を乗り切った。(岸本拓也、吉田通夫)

 本紙は七月から九月上旬まで、電力各社の資料や取材を基に、各日のピーク時、各社が用意した供給力の何割が使われたかを示す使用率の推移を調べた。
 北海道、東北、東京の電力三社では、使用率が90%未満の「安定」した状態がほとんど。95%以上の「厳しい」日はゼロだった。
 猛暑とはいえ、西日本ほどでなかったことや、東日本大震災から三度目の夏を迎え、家庭や企業の節電が定着した効果が大きい。政府は今夏震災後初めて数値入りの節電目標を定めず、節電PRも控えめだった。にもかかわらず猛暑だった二〇一〇年夏と比べ、今夏の最大需要は三社とも10%以上減っていた。
 一方、気温三五度以上の猛暑日に連日見舞われた西日本では、冷房などの需要が増え、「やや厳しい」(90%以上95%未満)日が目立ったものの、全体的には「安定」が大勢を占めた。ただ、原発依存度が高かった関電と九州電力では、「厳しい」がそれぞれ四日あった。
 西日本各地で気温が上がった八月二十二日には、関電の火力発電所がトラブルで停止。余力のあった中部電力と北陸電力から計五十万キロワットを送ってもらい、乗り切った。関電の担当者は「大飯原発3、4号機が動いていなければ電力は足りなかった」と、原発の必要性を強調する。
 だが、この日、日本全体でみれば、東日本の三社で少なくとも計四百四十万キロワット近い余力があった。東西では電気の周波数が違い、変換して融通できる電力には限りがあるものの、それでも八十万キロワットを関電に送ることが可能だった。
 東西で電力を送れる量は今後、大型の原発二基分に相当する二百十万キロワットに拡大する。広域で支え合う仕組みが整えば、原発に依存しなくても電力不足の心配は減る。
 電力需給に詳しい植田(うえた)和弘京大大学院教授は「需給だけをみれば、原発は必要ないことがはっきりした。広域の融通体制の強化や、節電で利用者が得をする料金体系の拡充など、対策の余地はまだある」と指摘する。

原発ゼロ 1年2カ月ぶり 大飯4号機定検入り 12基再稼働申請中

 国内で唯一稼働中だった関西電力大飯(おおい)原発4号機(福井県おおい町、百十八万キロワット)が十五日、発電を停止した。定期検査に入り、二〇一二年七月以来、一年二カ月ぶりに国内の商業用原発五十基すべてが止まった。
 しかし、新しい規制基準に基づき、四つの電力会社が計十二基の再稼働を申請しており、原子力規制委員会で審査が進む。四国電力伊方3号機(愛媛県)などは、今冬にも審査が終わり、「原発ゼロ」は数カ月で終わる可能性がある。
 十五日は、関電が午後から4号機の出力を少しずつ落とし始めた。同日深夜に発電を止め、十六日未明に原子炉が完全に停止した状態になる。
 「原発ゼロ」となるのは、原発草創期を除き、東日本大震災から一年二カ月近くがたった一二年五月五日からの約二カ月間に続き二度目。北海道電力泊3号機(北海道)が停止し、当時の民主党政権が夏場の電力不足の回避を理由に暫定的な基準で大飯3、4号機の再稼働を決定、七月一日に大飯3号機の原子炉を起動させた。
 規制委は、再稼働申請の出た十二基のうち大飯3、4号機だけは敷地内の活断層調査が続いていたため、審査を止めていたが、近く審査に入る。
 最も早く審査が進むとみられる伊方3号機は十二基の中で唯一、事故時に対策拠点となる免震施設などが完成。大地震や津波の対策でも大きな問題は指摘されていない。

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